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第六章 ハロウィン戦争編

第百五十三話「教師の実力」

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 緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する

 遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、アルスタリア高等学院全生徒 
 犠牲者:???



 実に何年ぶりの再会だろうか。覚えていない。というか、会えないと思っていた。今回の剣血喝祭で、あのファウストに殺されたという事を知っていたから。

「びっくりしたでしょ、この剣。ちょっと前にが落としたのを拾ってきたんだ。武器が無くて困ってたから助かったよ~」
「いや……そもそも先生が来たこと自体にびっくりしてるよ!」
「弟のクロムから話は聞いたよ。だから後は任せて!」

 頼りがいのあるはっきりとした声。本当に、先生は変わらないな……

「貴方は……お母さんの……!」
「えぇ、そうよ。私はのネフティス元メンバーNo.2……よくとは任務を遂行してたわ」
「えっ……!?」
「「はっ……!?」」

 今のやり取りで凪沙を始め、亜玲澄と正義も思わず驚きを口にする。
 元ネフティスメンバー。今のネフティスの前の世代に結成された精鋭達。その中に蒼乃の母親とミスリア先生が入っていたというのだ。

「でも、今は先生の立場だけどね。ちゆみんがいなくなってからはもうやってられなくなっちゃってね」
「……ミスリアさん」

 蒼乃がより一層凍りつくような声で彼女の名を言う。それに怯える素振りを一ミリも見せずに、ミスリアはただじっと蒼乃の目を見つめていた。

「悪い事は言いません。私と協力しませんか」
「……何故かな?」
「私の母……智優美さんを殺したのは、八岐大蛇……今の大蛇さんなんですよ!
 彼は今死器を身体に取り込んだ事による暴走の危険性及び人理壊滅を招く恐れがあるとして討伐対象となっています。お互い同じ敵を討つ同士で同盟を組みましょう」
「っ……!」

 何を言っているの。過去の出来事を利用してミスリア先生を寝返らせようだなんて、そう簡単に出来るはずが……

「……そうだね。確かに彼はちゆみんの敵だよ」
「先生っ……!!」

 ミスリア先生の答えは凪沙の理想の答えとは対極に当たるものだった。しかし、まだミスリア先生の口はまだ閉じなかった。

「でも今のネフティスに味方するのは断らせてもらうよ。たとえ彼が過去に相棒を殺したとはいえ、その頃の彼はここにはいない。そして今の彼……大蛇君は私の大事な生徒だ。教師たる者、どんな理由であれ生徒を殺す事なんて許されたものじゃないからね」

 そのはっきりとした力強い言葉に蒼乃も凪沙も、亜玲澄と正義も息を呑む。大蛇を守るためなら、どんな死でさえも受け入れる……そんな覚悟を固めたかのような口調と立ち振る舞いだった。

「そうですか……なら、ここで君達を永久の凍獄に閉じ込めてあげます……『氷星之血晶ダストスターダム』」

 右手の『絶氷銃ジオフロスト』の引き金を引いた刹那、絶氷の弾丸が地面を貫いたと共に渋谷の街が一瞬にして氷漬けとなった。更に凪沙達の周囲を氷の壁が覆い、一つの球体を作り出す。

「私は母を殺した彼を許せない。だからこそ、北条さんのこの行動は私にとっても都合が良かったんです。しっかり法の裁きとして因縁の敵を討てるのですから」
「……」

 実際に南極にいるような程の寒さ。肌を斬り裂くような冷たさが全身を襲い続ける。呼吸をしても冷たい空気が内臓を凍りつける。

「今日はその絶好の機会なのです。貴方達が邪魔をするというなら、容赦なく殺します」
「蒼乃、ちゃんっ……」

 凪沙が懸命に出そうとしてもかすれ声にしかならない。ただ薄い白い吐息が漏れるばかりだった。

「さよなら、皆さん……私は私の任務を果たします……」

 銃口を凪沙の方に向け、巨大なエネルギー弾を溜める。そして氷銃のトリガーを引いて――
 
「『投影神武サーキュレイド』……『約命之終光エクスカリバー』」

 魔剣キリシュタリアがミスリアの手元から消え、それと真逆の聖剣を召喚する。天を裂く光刃は氷魔の禁忌魔法を穿ち、天にまで上り詰める。

「神器を……投影したっ……!?」
「自分と母親の敵にしか見えてない蒼乃ちゃんに教えてあげる。年上の教師……いや、お姉さんに逆らうと……痛い目を見るってことをね!!」

 ミスリア先生は聖剣を両手で頭上に掲げ、勢いよく降り下ろす。それに合わせて巨大な光刃が禁忌を断ち斬っていく――
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