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第六章 ハロウィン戦争編

第百五十一話「星空を穿つ刃」

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 緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する

 遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、アルスタリア高等学院全生徒 
 犠牲者:???

 絶対絶命。死の危機。宿命からの敗北。俺はこの呪いを解くまでに何度こんな目に遭わなければならないのだろう。流石に身体が慣れてきた。もはや日常茶飯事と言えよう。
 
「っ……!」

 この刃同士の衝撃も、その度に痺れる腕も、背後が凍えるような気配の恐ろしさも全部俺の中の日常なのだ。今まで運命はこれほどまでに俺をおかしくしたのだ。狂わせたのだ。まるで兵器として生きているかのように。

「『神器解放エレクト』!」
「おぉ、やっと本気を出してくれた……って感じかな☆」

 だがはっきり言って俺はそれでいい。それで仲間を俺の死の運命から守れるなら、それで。だが仲間は……せめてエレイナだけは俺のようにさせないっ!!

「まずは……お前らが邪魔だ!!」

 俺が羽衣音の双剣を何とか受け流し、脳内で六本の剣の動きをイメージし、指示する。その通りに剣達は一斉に飛び交った。そのうち二本は紗切の方へ、残りの四本は背後から羽衣音に突き刺す。

「うっ……紗切ちゃん!」
「……はっ!!」

 だが紗切のカウンターは俺が飛ばした二本の剣に受け止められる。剣の振りによる衝撃波だけが俺の背中を押し出すように吹いた。

「……危ねぇ」

 もし神器解放エレクトせずにそのまま下がっていたらあのカウンターを直で喰らっていた。そうなれば即死も免れなかっただろう。

「こうなったら仕方ないね……『星暈之流舞ダンシングプリズム』!!」

 しかし、今度は羽衣音が攻撃を仕掛けてきた。エメラルドグリーンの二刀の刀身が夜空のように暗く、きらめいたオーラをまとい、軽々と振り回す。
 
 突進しながらの連続斬り……『終無之剣ラストソード』に似た技か! 

「私も忘れてはいけないよっ! 忍法『|雲竜斬』!!」
「ちっ……!」

 背後から頭上高く刀を振りかぶる紗切が現れ、前方の羽衣音に気をつけながら紗切の斬撃を左に避ける。上手く避けたと思った矢先に羽衣音の一撃が目に入る。俺は左手で六本の剣を飛ばして代わりに受け止める。

「上手いなぁ……かなり戦闘慣れしてるね、これは」
「……人間如きに言われても情が沸かん」
「君も……人間でしょ!!」
「残念だったな、俺はこれでも竜族だ」

 左手で六本の剣を旋回させ、二人の進路を妨害する。力づくで地面に剣を振り下ろした羽衣音は再び地を蹴り、剣を弾きながら全速力で迫る。俺は再び両手持ちに変え、羽衣音が来るのを待つ。
 先程の紗切がやったのと同じ戦法だ。右手が痺れている以上、ここしかチャンスは無い。

「そこぉぉぉぉ!!!!」

 羽衣音が吠えながら高々と右手の剣を振りかぶる。そして勢いよく振り下ろされた。

「っ……!」

 連続技には連続技でしか対抗出来ない……そう判断し、俺は再び『終無之剣ラストソード』を放つ。それぞれ青空と夜空のような色のオーラを纏った刀身が衝突し合う。

「くっ……! はぁぁぁ!!!」
「っ……」
 
 両手持ちとはいえやはり双剣の一撃が重すぎる。多少の傷を許してでも攻めなければ勝ち目は無いか。

「うおぉぉぉ!!」

 衝撃による痺れを我慢し、歯を食いしばりながら右足を羽衣音の足元に踏みこむ。踏み込みと同時に腰を落とし、剣を左肩に目掛けて 振り上げる。

「ガラ空き、だよ……!!」

 左手の剣が俺の右頬を掠る。更に羽衣音は二刀を目にも止まらぬ速さで振り回し、傷の数が一瞬で増える。
 だが今は攻撃する絶好のチャンス。これを逃したら次はない。死ぬ勢いで限界を超える速さで剣を振る!!

「せあぁぁぁぁ!!!!」

 腹の底から雄叫びを上げ、それに呼応するかのように両腕が動く。そして両手に持つ水晶の刃が二刀を通り越し、羽衣音の心臓へとほとばしる――
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