黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》

Siranui

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第六章 ハロウィン戦争編

第百五十話「星の刺客」

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 緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する

 遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、アルスタリア高等学院全生徒 
 犠牲者:???



「今度こそ……消えてもらうぞ」

 黒い閃光をまとう俺の左足が、予想外な行動に息を呑む紗切の右頬に迫っていく。
 そして、重い衝撃と共に黒い稲妻が花火の如く散った。しかし、俺の左足に当たったのは紗切の頬ではなく数多の色を放つ謎の光の球体だった。

「この速さに追いつくとは……」

 まるで流星だ。どこから狙ったかは分からないが、俺の蹴りが入るまでの速さは一秒と無かった。なのにその間に入り込んだ。それもこの蹴りよりも速い勢いで。

「羽衣音ちゃん……!」
「っ……!?」

 羽衣音。その名を俺は一度聞いたことがある。確かネフティスNo.5の星野羽衣音ほしのはいねだ。

「ちっ、こんなタイミングで新手かっ……!」

 俺は左足をすぐさま下に持っていき、そのまま振り上げ、球体を蹴り飛ばす。球体……いや、流星は花火の如く音と光を散らしていった。

「これはまた強そうな人が来たね……佐切ちゃん、まだ行けるでしょ?」
「うん、羽衣音ちゃんが来てくれたから大丈夫だよ!」

 エメラルドグリーンのボブ風の髪型に同色のキラキラとした服装……これのどこがネフティスメンバーだと思わせるくらいの派手な姿は正に、星という言葉が一番似合う存在と言っても過言では無い。

「ちっ、仲間参戦で正義のヒーローくだりか……」

 まるで女児向けのバトルアニメの悪役にでもなったかのような気まずさを感じながら剣を構え直す。

「んじゃ始めよっか……!」

 羽衣音と紗切が同時に地を蹴り、素早い動きで俺を挟み打ち状態にする。

「……二人がかりで俺を殺そうってか」
「「はあぁぁぁぁ!!!」」

 片方がクナイ、もう片方が魔法で精製した双剣で俺に迫ってくる。

 ――来る。リーチ的に双剣の方が長い。ならそっちの動きに意識して避けるまで。クナイは毒にさえ気をつければ大したことない。

「ふっ……」

 と紗切がほぼ同時に振ったと同時に俺は頭上にまで跳んで攻撃を避け、空中で半回転する。そのまま全身を捻り、反命剣リベリオンを無数の結晶体に変化させる。

「……『果てをも穿ちし逆鱗の花』」
「何これっ……!?」
「大量の……光……?」

 体制を維持したまま両腕を振り払う。それに続いて無数の結晶体が俺を包むように集まり、広がっていくように拡散していく。二人はとっさに防御の構えをとるが、呆気なく吹き飛ばされる。

「くっ……!!」
「あの結晶一つ一つが……強いっ……!」

 挟み打ちの状態から解放され、俺は再度空中で半回転し、地面に着地する。周囲に無数の光の結晶が浮いている。

「これは……強いね。いくら何でも神器を全く違うものに変化させるなんて」
「うぅ……クナイがもうこんなボロボロになった……塗った毒も剥がれちゃってるし……」

 紗切は右手のクナイを投げ捨て、背中に差してある刀を抜く。羽衣音は再び立ち上がりながら双剣を構える。

「……ヒーローごっこはもう終わりか」
「まだ……まだあぁぁぁ!!!」

 今度は羽衣音が一瞬で俺との距離を詰める。俺はすぐに右手を伸ばし、無数の結晶を飛ばす。

「『斬月星アバランシェ』!!」

 羽衣音は勢いに乗ったまま全身を捻り、回転斬りを繰り出す。エメラルドグリーンの刀身がまるで土星の輪のような円状の残像を生む。飛ばした結晶達が回転斬りによって簡単に弾かれてしまう。
 
「たとえその一撃が強くても、質量は本来の神器が分散しているから軽くなっている。君のそのたくさんある結晶の仕掛けはバレバレだよ☆」
「ちっ……!」

 対応力が凄まじい。初見で見る技……ましてやあの『果てをも穿ちし逆鱗の花』を打ち崩すとは。これはかなり厄介だぞ……!

「……面倒な奴だ」
「褒め言葉として受け取っておくよっ♪」

 すぐさま弾かれた結晶を集めて剣に戻し、羽衣音の回転斬りを止めるべく右から徐々に振り上げるように回転で勢いをつけ、思い切り振る。

「っ――!!」

 ギャリィィィィンッという全く聞いたことのない音が鳴り響いた。あまりにも強い衝撃で右手から全身を通って一気に痺れが生じた。

「がっ……!?」

 重すぎる。いくら勢いをつけたとしても双剣でこの重さはあり得ない。サーシェスの大剣なんて比にならない。例えるなら巨人のパンチを素手で受け止めたように重い。

「何だ、これはっ……!」
「一体なんだろうね~! 当ててみてごらんっ!!」

 更に、その重さの剣で連続攻撃。これ以上片手だけでは受け止められないと判断し、剣を両手で持つ。だがそれだけでも精一杯だ。

「うっ……! ぁああっ……!」

 ついに俺は防戦一方となった。これでは到底反撃なんぞ出来ない。更に後ろには紗切が何やら構えを取っているのが目に見える。これ以上下がったら紗切に殺られる。

 俺はいつの間にか絶対絶命の危機に陥っていた――
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