黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》

Siranui

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第六章 ハロウィン戦争編

第百四十四話「電光石火」

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 緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する

 遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、アルスタリア高等学院全生徒 
 犠牲者:???

「――っ!!」

 速い、あとコンマ1秒もしないうちに首が跳ね飛ばされるかもしれない。動け。身体がおかしくなろうと今は動け……死にたくなければな!!

「ふぅっ……!!」

 両足に意識を集中させ、瞬時に強く後ろに蹴って神速の一振りを何とか避ける。あごを掠るがこの程度で済むなら十分すぎる。しかし、先程まで毒を抜いていた右足……正確には脹脛ふくらはぎの痛みがより一層苦しめた。今の回避で更に負担をかけた。恐らく次は避けられないと思っていい。

「流石の反射速度だ……だがそれもどれだけ通用するかっ!!」

 常人の目と感覚ではとても追えられない程の速さで再び突進してくる。後ろに構えた刀を振るのとほぼ同時に右に走って避ける。そして背後に周って右手を│翳《かざ》し、反命剣リベリオンを召喚する。

「っ……!!」

 右手を後ろに引き、左足で地を強く蹴ったと同時に俺は『影之閃ステイル』を繰り出す。俺が今まで習得してきた技の中で一番速さに特化した突き技だ。これなら総長の隙を突ける――!!

「……『無霞天消エクソシーム』」
「なっ――」

 刹那、一閃。俺の技の四倍ほどの速度で正嗣総長は俺の全身を斬り刻んだ。無数の切り傷から大量の鮮血がほとばしる。痛みが限界を越え、思わず俺は剣を杖代わりに突きながら立膝になる。頬からも温かい真紅の液体が地面に零れ落ちていくのが見える。

「がっ……ぁ…………」
「よそ見とは心外だな……!」
「うぅぅっ……!!」

 腹の底から叫びながら神速の攻撃を剣で受け流しながら転がる。動くたびに俺の後を追うように血が地面に付着していく。これでは逃げても無駄だ。

 ――なら、やるしかない。

「『神器解放エレクト』ッ……!!」
「……ふむ」
(……まだ死器を使うつもりはないか)
 
 俺の周囲に六本の水晶剣が出現し、左手を正嗣総長に向けて伸ばしてすぐに空を裂いて飛んでいく。しかし正嗣総長はそれを容易に避けては斬り崩し、一瞬にして無力化する。

 ちっ、これがネフティスNo.1の実力か。神器無しでここまでとは……!
 なら仕方がない、思う存分技を仕掛けてみるまでだ。

「まだ終わると……思うなよ」

 一か八かで俺は左足で強く蹴って正嗣総長との間合いを詰める。そしてそのまま右手に魔力を集中させ、『狂神之天殺ゼノジエイド』を繰り出す。だが正嗣総長の刀は禍々しくも神々しい不規則なアメジストのオーラを纏っていた。
 何か技を出すつもりなのだろうが、この速さには流石に勝てまい。さっきの二の舞など御免だ。

「どけえええええっ!!」
「『斬獄死穴アビススレイド』」

 二つの技が、魔力で黒く染まった二刀が互いの身を斬り裂く。一方は滑空するかのように移動しながら斬り、もう一方は迫ってきた瞬間に抜刀するように刀を振る。

「「……」」

 突如勢いよく鮮血が宙を舞い、二人同時に膝をつく。

「くっ……」
「……やはり君の素早さはあなどれないな。討伐対象ながら認めざるを得ないようだ」

 正嗣総長は今の一撃を喰らったのにも関わらずすくっと立ち上がり、刀身が粉々に砕けた刀を道路の隅に投げ捨てる。そして背中に挿してあるもう一本の刀の柄に右手を置く。

「光栄に思うといい。私が本気を出して戦う相手は君が初めてだ、大蛇君」
「――!?」

 背中から刀を抜いた刹那、凄まじい魔力の覇気が俺を襲った。全身が強張る。恐れているのか。否、これはそんなレベルのものではない。
 この刀からはを覚えてしまう。見ただけで負けると分かってしまう。

「見せてあげよう。『電光石火』の二つ名をもつ私の力を……『神器解放エレクト』」

 刀身から放たれるとてつもない魔力に、俺は唾を飲み込む事も出来なかった。
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