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第五章 廻獄厄死篇
第百二十八話「超越者の再来」
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西暦2005年 8月11日 第五次剣血喝祭終了まであと3日
カルマ、エイジ、エレイナ、ミスリアを除く全作戦メンバーがリタイア。また、学院に属する特別区分一年生の生徒が死器を取り込んだ事により、生徒及び人々の安全を守るため、第五次剣血喝祭は中止とする。
また残り日数は学院に戻り次第通常授業とし、死器を取り込んだ生徒は切り離されるまで出席停止とする。
長崎県 長崎市――
「はぁ、はぁ……もう、いつになってもこの行事だけは慣れないわね……」
どれだけリタイアさせただろうか。どれだけ血祭りの危機から生徒を救っただろうか。とりあえず目の前にいる生徒達の事で精一杯になっては数なんて数えられなかった。
ミスリアは曲刀を腰の鞘に収め、歩道の端に座り込む。サラサラとした赤髪が今では長期にわたる戦闘でボサボサだ。折角整えた顔も汗で台無しになってしまう。
「そういえば、残りの生徒数ってどれくらいなんだろう……?」
日にちを見るにもう一ヶ月近く経っている。あと3日……他のエリアで犠牲者は出ていないのだろうか。
周囲に他の生徒がいないか確認しつつ、携帯を開く。画面には1件の通知があり、それを開くとそれは学院からのメールだった。
『第五次剣血喝祭 残り参加者数 4人
リタイア数 約600名 犠牲者数 1名』
「え……?」
この驚きは残り参加者数では無く、犠牲者数だ。参加者数も例年に比べたら多い方ではあるものの、ロストゼロ作戦メンバーに特別区分生徒を2人入れてでも犠牲者数を0に出来なかったのだ。
つまり、作戦は失敗した――とは思えなかった。
むしろそれより残酷な未来をミスリアは想像してしまった。
「もしかして、この犠牲の一人がメンバーの誰かだったら……」
思わず身体が震える。呼吸が浅くなる。歩行者がいない中、ただ画面を見つめながらこれから起こりうる未来に恐怖を抱いていた。
しかし、そんなミスリアに追い打ちをかける事態が発生する――
「……まだ人間の生き残りがいたとはな」
「――!?」
短めの銀髪に白い騎士服。見た目からして完全にエイジ君だけど、口調が全く違う。これは一体どういう事か。
「君……エイジ君じゃないね。誰?」
「……我が名はファウスト。天と地を纏いし神の超越者なり」
「ファウスト……??」
聞いたことが無い名前。それにエイジ君の身体で言われるととても違和感でしか無い。
「エイジ君に何をしたの?」
「この通り取り込んだのだ。神の超越者たるこの我が一人の人間の肉体を手に入れた。安心したまえ、この器は生きたまま取り込んである。意識さえあればいくらでも憑依出来る……」
身体に魂を取り込む……そんな事が出来るの? もちろん今までそんな事例なんて見た事が無い。更に魔力が今までのエイジ君からは計り知れない程にまで上昇している。
「うちの生徒の身体に入り込んで……何をする気なの?」
恐怖に負けじまいと右手で剣の柄を掴み、勢いよく抜く。そのまま切っ先をファウストに向ける。対してファウストは動じもせずに右手を頭上に掲げ、光の球体を精製する。
「……全ての人間をこの手で滅ぼし、かつての時代を取り戻すのだ」
「滅ぼす……全ての人間を……」
再び恐怖で身体を震わせる中、ファウストの右手に精製された球体が徐々に鋭い稲妻を纏い始めた。そしてそれは言葉通り、人類破滅のための技と言っても決して不思議では無いほどに見る者を絶望に陥れるのだった――
カルマ、エイジ、エレイナ、ミスリアを除く全作戦メンバーがリタイア。また、学院に属する特別区分一年生の生徒が死器を取り込んだ事により、生徒及び人々の安全を守るため、第五次剣血喝祭は中止とする。
また残り日数は学院に戻り次第通常授業とし、死器を取り込んだ生徒は切り離されるまで出席停止とする。
長崎県 長崎市――
「はぁ、はぁ……もう、いつになってもこの行事だけは慣れないわね……」
どれだけリタイアさせただろうか。どれだけ血祭りの危機から生徒を救っただろうか。とりあえず目の前にいる生徒達の事で精一杯になっては数なんて数えられなかった。
ミスリアは曲刀を腰の鞘に収め、歩道の端に座り込む。サラサラとした赤髪が今では長期にわたる戦闘でボサボサだ。折角整えた顔も汗で台無しになってしまう。
「そういえば、残りの生徒数ってどれくらいなんだろう……?」
日にちを見るにもう一ヶ月近く経っている。あと3日……他のエリアで犠牲者は出ていないのだろうか。
周囲に他の生徒がいないか確認しつつ、携帯を開く。画面には1件の通知があり、それを開くとそれは学院からのメールだった。
『第五次剣血喝祭 残り参加者数 4人
リタイア数 約600名 犠牲者数 1名』
「え……?」
この驚きは残り参加者数では無く、犠牲者数だ。参加者数も例年に比べたら多い方ではあるものの、ロストゼロ作戦メンバーに特別区分生徒を2人入れてでも犠牲者数を0に出来なかったのだ。
つまり、作戦は失敗した――とは思えなかった。
むしろそれより残酷な未来をミスリアは想像してしまった。
「もしかして、この犠牲の一人がメンバーの誰かだったら……」
思わず身体が震える。呼吸が浅くなる。歩行者がいない中、ただ画面を見つめながらこれから起こりうる未来に恐怖を抱いていた。
しかし、そんなミスリアに追い打ちをかける事態が発生する――
「……まだ人間の生き残りがいたとはな」
「――!?」
短めの銀髪に白い騎士服。見た目からして完全にエイジ君だけど、口調が全く違う。これは一体どういう事か。
「君……エイジ君じゃないね。誰?」
「……我が名はファウスト。天と地を纏いし神の超越者なり」
「ファウスト……??」
聞いたことが無い名前。それにエイジ君の身体で言われるととても違和感でしか無い。
「エイジ君に何をしたの?」
「この通り取り込んだのだ。神の超越者たるこの我が一人の人間の肉体を手に入れた。安心したまえ、この器は生きたまま取り込んである。意識さえあればいくらでも憑依出来る……」
身体に魂を取り込む……そんな事が出来るの? もちろん今までそんな事例なんて見た事が無い。更に魔力が今までのエイジ君からは計り知れない程にまで上昇している。
「うちの生徒の身体に入り込んで……何をする気なの?」
恐怖に負けじまいと右手で剣の柄を掴み、勢いよく抜く。そのまま切っ先をファウストに向ける。対してファウストは動じもせずに右手を頭上に掲げ、光の球体を精製する。
「……全ての人間をこの手で滅ぼし、かつての時代を取り戻すのだ」
「滅ぼす……全ての人間を……」
再び恐怖で身体を震わせる中、ファウストの右手に精製された球体が徐々に鋭い稲妻を纏い始めた。そしてそれは言葉通り、人類破滅のための技と言っても決して不思議では無いほどに見る者を絶望に陥れるのだった――
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