黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》

Siranui

文字の大きさ
上 下
114 / 232
第四章 剣血喝祭篇

第百十三話「星を穿つもの」

しおりを挟む
 任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
 遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス


 スタニッシュリング。この神器ゆびわは、かつてヴェルサイユ宮殿を建てたルイ14世が『ヴェルサイユの失敗作』と呼ばれた今亡きシンデレラ宮殿に対する慈悲としてこの指輪を宮殿の象徴として置いたとされている。
 その指輪に秘められた力は『天神之光陽エクスソフィア』と呼ばれる始祖神の加護の一つである太陽の力が宿されている。
 その加護の強さ故に、ルイ14世が『太陽王』と呼ばれたとされている。

 そして今は怪盗パンサーから時の神へ。神話上『戦神』と呼ばれたアレスはついに時と太陽の力を手に入れたのだ。『二重人格ダブルフェイサー』と共に――


「さぁ……死んじまう前にさっさとリタイアしたらどぉぉだああっ!!??」
「くっ……避けられないなら押し通すまでだ!」
「ちょ、ベディヴィエル! そんなの無茶だわ。速く転移魔法で……」
「ここで一気に強者を落とした方が都合がいいだろう?」

 不思議とベディヴィエルが余裕の笑みをカペラに見せつけ、両足で飛んで太陽に向かって聖剣を突き刺す。

「私の真の力……神であろうと舐めると痛い目見るぞ!」
「へぇ……その神器程度で止められると思ってんのか!?」
「やってみるさ……学園一の名にかけてな」

 ベディヴィエルの聖剣の先端が徐々に食い込んでいく。それと同時に太陽も少しずつベディヴィエルを飲み込もうとする。

「焼き尽くしてやる……!」
「このまま君を太陽ごと穿つ……『暴魔之虐殺ヘルグレイヴ』!」

 刀身が禍々しいオーラをまとい、黒点の如く太陽を少しずつ黒に染める。

「沈め……今は月が昇る時だ!」
「まだ夏だからなぁ……沈むにはまだ速すぎるぜぇぇ!!」

 ……確実に聖剣が太陽を深々と貫いている。まずい、このままでは亜玲澄が殺される。速く止めなければ。

「そこだ……『星穿之星屑コスモボルグ』!!」

 刹那、一直線に星屑の槍が太陽を一瞬にして穿つ。

「マジかっ……!!」

 再び太陽を精製するよりも速く星屑が目の前にまで迫ってきて――









「――消えよ、厄災の星よ!」

 ……誰だ。誰の声だ。でも何故か聞き覚えのある声だった。大蛇にとっては。

「『暴無闇喰ぜーファゲイド』!!」

 漆黒の鎧を身に纏う少女が亜玲澄の目の前に突如として現れ、両手から波打つように闇が星屑に襲いかかっては飲み込んでいく。

「な、何だあれは……」
「ベディヴィエル!」

 カペラが瞬時に空間を歪ませるも、闇は歪みさえも呆気なく飲み干す。

「――!!」
「……私はエリミネイト。あらゆる歪みを殺し、全てを喰らう」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...