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第四章 剣血喝祭篇

第百十二話「祈りが届く時」

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 任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
 遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス


 赤髪の剣士が地を蹴ってカペラの目の前を横切る。直後、カペラの全身から無数の血飛沫が長崎の宙を舞った。

「あがっ……」
「おいおい、生徒会副会長なんだろ? どうやらてめぇは学園一の魔術を使える魔女らしいな。なのに爆裂魔法しか使わねぇで勝とうだなんて俺や黒坊に失礼なんじゃねぇのか?」
「くっ……たかが1年生が生意気言わないでちょうだいっ!」
「散々ハウステンボスを焼き尽くしては無慈悲に市民を絶望に落としやがって……どっちが生意気かは言うまでもねぇよなぁ!!」

 純粋なる人間にも関わらず、痛々しい姿からはとても見せられないほどの速さで突進し、カペラの腹部目掛けて刀を振る。

「なら見せてあげるわ……『地槍雷剴スティグリッツ』!」

 唱えた途端、正義の足元及び周囲からエメラルド色の雷をまとった槍のようなものが4本出現し、全て正義に襲いかかる。

「ぐっ……んだこれ邪魔くせぇ!!」
「私の……の邪魔をする人は誰であろうと容赦しないわ」

 いくら正義と言えど、片腕だけで雷属性を付与した土属性の変形魔法4つ分は完璧に対応出来なかった。所々に槍が掠るも、正義は表情を何一つ変えずに刀で受け流す。

「正義っ……」

 動け。どんな手を使ってでも動け。このからだに残っている血を全部使ってでも動け。

「ぐっ……痛ぇしビリビリしやがる!」

まだ意識はあるんだ。なら動いて正義を助けろ。それしか俺には出来ないのだから。それでしか運命に復讐出来ないのだから。

「……穿て!!」
「ぐっ……ぁ…………」
「っ――!!」

 全身に力を加えるよう脳内で身体に指示する。しかし全身の痛みからか動こうとしない。仲間のピンチだというのに。俺はまたあの時みたいに見殺しにするのか。遊園地で毒薬を飲まされた、あの時みたいに。

 もう誰も死なせないと、誓ったのに――






「やっと見つけたぜぇぇ……、陰謀まみれの生徒会さん達よぉぉぉっ!!!」

 刹那、日が昇った。いや、太陽の如く燃え上がる魔力が徐々に大きくなっていく。あの魔力は間違いない、スタニッシュリング……ということは――

「へっ…………遅ぇぞ、白坊……」
「ぁ…………れ……」
「待たせたなぁ! お詫びにとっておき用意しといたからとくと味わえよ!『慈獄之焼愛シルヴィスタ・サン』!!」

 ハウステンボスを覆い尽くす程の大きさの太陽が徐々に迫っていく。

「おいおい……俺達諸共殺す気かよ…………」
「安心しろ、スペシャルゲストを用意してるからな!!」

 すると俺の目の前にエルフのような姿の女性が両腕を左右に伸ばし、指先に魔力を集中した。

「任せて……『神風之天盾アブルヘイム』!!」

 突如現れた女性の指先から風の球体が俺と正義の目の前で破裂しバリアを精製した。更にベディヴィエルと戦っている最中のクロムの全身もバリアが囲う。

「何だ……誰の魔法だ!」
「ベディヴィエル、かなりまずいわ。速く役員全員ここに集めさせて――」
「んな事俺様が認めると思うか? バーカ、させるわけねぇだろ! てかその前にてめぇら二人共リタイア行きへ直進だぜぇぇ!!」

 ふと立ち止まったベディヴィエルとカペラの目の前に、亜玲澄が放ったとてつもなく大きい太陽が迫り、少しずつ頬を焼いていった――
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