黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》

Siranui

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第四章 剣血喝祭篇

第百十一話「救いの手」

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 ……ベディヴィエル・レント。あいつは本当に何者なんだ。ネフティス推薦の女の子と2人がかりで手も足も出なかった。女の子の方に関しては滅多に見ない光属性の魔法使いだ。なのに、たった1人の騎士相手に負けた。
 だからこうして海にプカプカと浮きながら澄み切った敗北の青空を見上げてる。

「まぁ、まだ生き残れてるだけマシか」
「そうだね……今は、こうして休みたいかも」

 エレイナと名乗る少女はふふっと笑みを零しながらそう言った。彼女が海に浮きながら空を見てるその姿はこれだけで絵になる程に美しかった。やはりだったであろうだけあって、見てると思わず既視感を感じてしまう。

 ……あの子も、その姉妹達も王様も……今頃元気してるだろうか。

「……ねぇ、カルマ君」

 ふと声をかけられる。反射で振り向いてエレイナの何か言いたげな顔をじっと見る。そして少し顔を赤らめながら口を開く。

「このままいたら……君のお嫁さんに誤解されちゃうかもね」
「っ……!?」

 突如としてあの風使いの姫……ディアンナの顔が頭に浮かぶ。あれを怒らせたら間違いなく殺されると悟り、慌てて海から出た。その様子をにこやかに見つめながら、エレイナは目を瞑って祈るように両手を合わせる。


(お願い、無事でいて大蛇君。生徒会長さんが今そっちに向かってる。殺されそうになったら、逃げて。どんな手を使ってでも生き延びて――)



 任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
 遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス



 クロムとベディヴィエルの死闘の激しさは、互いの剣が交差する際に散っていく火花と魔力による衝撃で直に伝わる。それだけを感じながら意識だけが遠のいていく。

 ……
 ……消えていく。自然と魂が地を通って下に沈んでいくように全てが消えていく。正に先程まで纏った影のように暗く、地味に、誰にも気づかれずに消えていく。

 あぁ、あの雨が降ってくれれば……でもそうか。ここ禁忌魔法が使えないんだったな。確か長崎全域で負の魔力を遮断する結界が貼られているんだっけか。だから実質学院内で血祭りを行っているようなものか。

 まぁ今更だがな。俺はまたつまずいたんだ。それも3度目だ。3度目の正直って言葉を運命は……俺は知らないのか。それを信じて今まで剣を振ってきたというのに。
 
 終わってしまうのか、俺の復讐劇は。今度こそ本当に――




『――土産話ちゃんと持ってきてね、大蛇君♡ ちゃんと持ってこないときつ~いお仕置きがまってるからね~♪ くふふふ~っ!!』

 ……畜生、このまま土産渡せずに死んだら凪沙さんに合わせる顔が無くなっちまうな。むしろ土産どころか訃報を渡す事になっちまうな。

「今のうちに死神をっ……!」

 カペラが右手から火球を精製し、死ぬ間際の俺に放つ。それと同時に空間ではなく火球が歪み始めた。徐々に火球は大きくなり、ヒビが入っていく。爆発のカウントダウンが迫っていた。

「今度こそ息の根を止める……」
「んな事させるかよ口堅女ァ!!」

 刹那、爆発寸前の火球が斬り刻まれ、無数のポリゴンと化して爆発せずに消え散った。

「くっ……、今度は一体っ……」
「……!!」

 思わず声を静かに漏らす。血によって赤黒く染まった和服に左腕が失われていて痛々しい姿をしていたが、その背中は相変わらず頼もしかった。

「お互い苦労してんな、黒坊」
「せ…………ぃ……」
「なぁに安心しやがれ。未来を担う小さな女の子守るためなら腕の一つくらいやったるわ。これでも十分戦える太刀だからよぉ……今はこの武刀正義に任せとけ!」

 ……ふっ、流石は俺と互角に殺し合った仲だ。今はそれに甘えさせてもらおう。

 俺が安心して目を瞑ったのを確認し、笑みを浮かべた正義はカペラの方を向くと同時に刀の先端を向ける。

「黒坊に加えこのハウステンボスをこんな目にさせるたぁ流石は生徒会副会長と言ったところか、裂空焼天アマノホデリ』使いのカペラの嬢ちゃん」
「……礼儀がなってない人ね」
「いくら女の子は皆守るとはいえ、そこの善悪くらいわきまえてるからな。特にてめぇには敬う筋合いなんてねぇよ。理由は単純シンプルだぜ。それは……」


 ――俺の黒坊ベストフレンドを殺そうとしてたからなぁぁ!!

 正義の心の底から湧き上がる怒りなのか、刀身が真っ赤に染まった。何故か俺の魔眼と同じように右目から血が流れる。

 そして、謎の音色が耳元で鳴り響いた直後に正義は勢いよく地を蹴った――
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