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第四章 剣血喝祭篇
第百五話「迫る選択」
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任務 ロスト・ゼロ作戦の成功
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
2005年 7月24日 剣血喝祭10日目
長崎県松浦市――
変形魔法を使う生徒ギールをリタイアさせ、その後も松浦市にいる生徒達を次々とリタイアさせた俺――大蛇とクロムは、現在松浦駅前にいる。ここから次の市へと移るためだ。
ルール上、エリアの生徒を討伐あるいはリタイアさせた場合、生き残った者が次のエリアに移る事でそのエリアは戦闘対象外となり、参加者全員はエリアに入る事が禁じられる。
つまり、ここで俺達が出てしまえば松浦市は戦場にならないという事になる。よってこれ以上市民が巻き込まれるのも避けられる。
ということで早速この場から出ようという訳になり、今に至る。
「大蛇さん、次はどこにしましょうか」
「……」
ここからだと一番近いエリアはやはり佐世保市になるか。だがあそこはかなり大きいのもあって、とても二人だけでは先程のように上手くいくとは思えない。
「……一先ずここを出る。どの道佐世保市は電車で通る事になるから今後の事はそこで考えるとしよう」
「了解です。ではそうと決まれば行きましょう」
この後どうするかは電車に乗ってから決めることにし、俺達は予め学院から支給された日本円の交通費で駅の改札を通り過ぎた。
◇
ガタンゴトンッという音と同時に身体が揺れる。風景が一枚のパラパラ漫画の如く左から右へと通り過ぎていく。
「――それで、電車に乗ったのは良いもののどこに向かうべきか……」
「佐世保市を後にするなら、その先の西海市とかですかね」
そう考えてはいるものの、結局そこに作戦メンバーがいなければ何も意味が無い。今は少しでも人数を増やし、生徒会に対抗しなくてはならない。それも参加者全員をリタイアを大前提としての話だ。
「これはかなり慎重に選ばなければいけないですね……」
「あぁ。それにメンバーのいないエリアに生徒会がいる時点でこの作戦は失敗だと思った方がいい。せめてベディヴィエルと副会長はメンバーがいるエリアにいてほしいが……」
そう、生徒会でも特に強敵である生徒会長と副会長が合流してしまえばもう長崎は焼き果ててしまうと言っても過言ではない。それより前にメンバーの誰かが片方と接触し、リタイアさせてくれれば良いのだが。
『間もなく、佐世保――』
突如電車内に男性のアナウンスが響き、二人は思わず上のスピーカーを見上げる。
「大蛇さん、どうしますか」
「……急遽作戦変更だ。ここで降りよう。どうやら佐世保市にはハウステンボスというものがあるらしい。恐らく一人は確実に生徒がいる」
「分かりました、行きましょう」
次の行き場所が決定し、立ち上がってすぐに電車のブレーキが効き始め、二人共に前に体制が崩れる。すると完全に停止し、後ろに身体が引っ張られる。
プシューッという音を立てながらドアが開き、急いで降りて改札を通り抜けて佐世保駅を出てすぐの事だった。
どの方向かは分からないが、遠くで爆発音が響いた。
「――!」
「左からだ。行くぞクロム」
何か嫌な予感が頭を過ぎり、俺達は急いで爆発があった場所へと走った。
この時俺達はまだ知る筈も無かった。『常夏の血祭り』という二つ名を持つ祭りの真の恐怖を――
遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス
2005年 7月24日 剣血喝祭10日目
長崎県松浦市――
変形魔法を使う生徒ギールをリタイアさせ、その後も松浦市にいる生徒達を次々とリタイアさせた俺――大蛇とクロムは、現在松浦駅前にいる。ここから次の市へと移るためだ。
ルール上、エリアの生徒を討伐あるいはリタイアさせた場合、生き残った者が次のエリアに移る事でそのエリアは戦闘対象外となり、参加者全員はエリアに入る事が禁じられる。
つまり、ここで俺達が出てしまえば松浦市は戦場にならないという事になる。よってこれ以上市民が巻き込まれるのも避けられる。
ということで早速この場から出ようという訳になり、今に至る。
「大蛇さん、次はどこにしましょうか」
「……」
ここからだと一番近いエリアはやはり佐世保市になるか。だがあそこはかなり大きいのもあって、とても二人だけでは先程のように上手くいくとは思えない。
「……一先ずここを出る。どの道佐世保市は電車で通る事になるから今後の事はそこで考えるとしよう」
「了解です。ではそうと決まれば行きましょう」
この後どうするかは電車に乗ってから決めることにし、俺達は予め学院から支給された日本円の交通費で駅の改札を通り過ぎた。
◇
ガタンゴトンッという音と同時に身体が揺れる。風景が一枚のパラパラ漫画の如く左から右へと通り過ぎていく。
「――それで、電車に乗ったのは良いもののどこに向かうべきか……」
「佐世保市を後にするなら、その先の西海市とかですかね」
そう考えてはいるものの、結局そこに作戦メンバーがいなければ何も意味が無い。今は少しでも人数を増やし、生徒会に対抗しなくてはならない。それも参加者全員をリタイアを大前提としての話だ。
「これはかなり慎重に選ばなければいけないですね……」
「あぁ。それにメンバーのいないエリアに生徒会がいる時点でこの作戦は失敗だと思った方がいい。せめてベディヴィエルと副会長はメンバーがいるエリアにいてほしいが……」
そう、生徒会でも特に強敵である生徒会長と副会長が合流してしまえばもう長崎は焼き果ててしまうと言っても過言ではない。それより前にメンバーの誰かが片方と接触し、リタイアさせてくれれば良いのだが。
『間もなく、佐世保――』
突如電車内に男性のアナウンスが響き、二人は思わず上のスピーカーを見上げる。
「大蛇さん、どうしますか」
「……急遽作戦変更だ。ここで降りよう。どうやら佐世保市にはハウステンボスというものがあるらしい。恐らく一人は確実に生徒がいる」
「分かりました、行きましょう」
次の行き場所が決定し、立ち上がってすぐに電車のブレーキが効き始め、二人共に前に体制が崩れる。すると完全に停止し、後ろに身体が引っ張られる。
プシューッという音を立てながらドアが開き、急いで降りて改札を通り抜けて佐世保駅を出てすぐの事だった。
どの方向かは分からないが、遠くで爆発音が響いた。
「――!」
「左からだ。行くぞクロム」
何か嫌な予感が頭を過ぎり、俺達は急いで爆発があった場所へと走った。
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