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第三章 学園惑星編
第八十三話「第二の試練(下)」
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――捕らえた。今度は斬れる。
魔剣の切っ先がミスリアの左脇腹に入り込む。それを読んだミスリアは体制を低くして避けるものの、右の肋骨に切っ先が入り込む。
「……やられた分はここで返す」
「一筋縄には……行かないよっ!」
刹那、ミスリアは更に体制を低くして、靭やかな身体を左にずらして避ける。見事に俺の一振りは空振りに終わり、ミスリアの反撃が下から襲ってくる。
「私にそんな攻撃当たらないと思った方がいいよ!」
「ちっ、何て柔軟性だ!」
身体の柔らかさが人並みじゃねぇ。一体どう過ごしたらそこまで柔らかくなるんだ。
ミスリアの剣を受け止めながらも、身体が上に持ち上がりそうになる。それはつまり、パワーも半端では無い事を指していた。
「はぁっ!!」
「ちっ……!」
思い切り弾かれ、右腕が上に上がってしまう。その隙を狙ってミスリアは先程俺がしたように攻撃を仕掛ける。
「立場逆転だねっ!」
「させねぇよ!!」
俺はとっさに左足でミスリアの手首目掛けて回し蹴りをする。奇跡的に命中し、ミスリアの剣が俺から見て大きく右に吹き飛ぶ。
「くっ……!」
「ツメが甘いぞ……ミスリア先生!!」
そして先程弾かれた右腕に持つ剣を振り下ろす。しかしミスリアの瞬発力が勝り、命中はしなかった。が、俺の狙いはそこではなかった。
「え……?」
ミスリアは思わず声を出す。目の前には闇の魔力で精製された衝撃波が迫り、当たる寸前で爆発を起こした。その威力でミスリアは後方に吹き飛んだ。
「うっ……!!」
『こ、これが私の……技です!』
「随分と丁度いいタイミングだな」
『こ、このくらいなら……わ、私でも、出来ます!』
今のはこの魔剣……殺歪剣が放った衝撃波だ。それに加え、俺の意思が魔剣に通じて中の魔力を解き放ったとも言える。
「今のは……」
ミスリアが少しよろめきながら立ち上がり、俺の前まで歩いてきた。俺は魔剣を背中の鞘に収め、ミスリアが来るのを待つ。
「恐らくこいつの魔力によるものだ。それが俺の考えを読み、それに応じたと言ったところだろう」
「そんなもの、ほんとにあるんだね……」
ミスリアは流石に参ったような言い方で呟いた。この学園に武器に魔力を付与して攻撃するだなんていう技は存在しないのだろう。
「実はね、前にオロチ君と似たような技を使って私と戦った人がいるんだ。その人も剣から衝撃波を放っていてね……それが、今のネフティス総長をやってるんだけどね」
「――!!」
冗談じゃないのか。今目の前に立つミスリアが正嗣総長の担任もやっていたというのか。そしてそんな総長も俺と同じように衝撃波を剣から放っていた。ということは……
だが、ミスリアは予想だにしない一言を言い放った。
「でも、マサツグ君は魔力値が0に等しかったんだよ」
「え……」
「全くの人間。それも剣の腕だけでこの特殊区分生徒に選ばれたの。それなのに今のオロチ君と同じくらいの衝撃波を放っていたんだ」
……化け物って実際にいるものだな。どうりでネフティスが地球規模にまで発達するわけだ。
「そんなマサツグ君が今では『電光石火』なんて呼ばれるくらいまで強くなって……多分今の人類の中だったら一番強いんじゃないかな」
「…………」
これには大袈裟だなんて言えなかった。実際そうだと思い込んでるからだ。恐らく副総長の蒼乃さんとの差は計り知れないと言ってもいいだろう。
実際に総長が戦ってるところは見たことが無いが、多分今の俺の全力で立ち向かったとしても5分もかからないだろう。
「んじゃ、そんなマサツグ君を超えられるようにひたすら特訓だよ!」
「え、ちょおい!」
いつの間にかミスリアの右手に収まっていた剣が突如として俺の首元を襲った。とっさに背中の魔剣を抜いてはぶつける。
「そんなんじゃ一番にはなれないよ! ほらもっと!!」
「ちょっ……いきなり何なんだ」
「もっと君の本気、見せてよ!」
「言われてすぐ出せるものじゃねぇぞ……!」
こんなやりとりをしながらの剣撃が2時間に渡って続いた。全ては現ネフティス総長――桐谷正嗣を超えるために。俺を永久に苦しめる宿命に復讐を果たすために。
俺はその思いをひたすら剣に纏わせてはミスリアに向かって振り続けた。
魔剣の切っ先がミスリアの左脇腹に入り込む。それを読んだミスリアは体制を低くして避けるものの、右の肋骨に切っ先が入り込む。
「……やられた分はここで返す」
「一筋縄には……行かないよっ!」
刹那、ミスリアは更に体制を低くして、靭やかな身体を左にずらして避ける。見事に俺の一振りは空振りに終わり、ミスリアの反撃が下から襲ってくる。
「私にそんな攻撃当たらないと思った方がいいよ!」
「ちっ、何て柔軟性だ!」
身体の柔らかさが人並みじゃねぇ。一体どう過ごしたらそこまで柔らかくなるんだ。
ミスリアの剣を受け止めながらも、身体が上に持ち上がりそうになる。それはつまり、パワーも半端では無い事を指していた。
「はぁっ!!」
「ちっ……!」
思い切り弾かれ、右腕が上に上がってしまう。その隙を狙ってミスリアは先程俺がしたように攻撃を仕掛ける。
「立場逆転だねっ!」
「させねぇよ!!」
俺はとっさに左足でミスリアの手首目掛けて回し蹴りをする。奇跡的に命中し、ミスリアの剣が俺から見て大きく右に吹き飛ぶ。
「くっ……!」
「ツメが甘いぞ……ミスリア先生!!」
そして先程弾かれた右腕に持つ剣を振り下ろす。しかしミスリアの瞬発力が勝り、命中はしなかった。が、俺の狙いはそこではなかった。
「え……?」
ミスリアは思わず声を出す。目の前には闇の魔力で精製された衝撃波が迫り、当たる寸前で爆発を起こした。その威力でミスリアは後方に吹き飛んだ。
「うっ……!!」
『こ、これが私の……技です!』
「随分と丁度いいタイミングだな」
『こ、このくらいなら……わ、私でも、出来ます!』
今のはこの魔剣……殺歪剣が放った衝撃波だ。それに加え、俺の意思が魔剣に通じて中の魔力を解き放ったとも言える。
「今のは……」
ミスリアが少しよろめきながら立ち上がり、俺の前まで歩いてきた。俺は魔剣を背中の鞘に収め、ミスリアが来るのを待つ。
「恐らくこいつの魔力によるものだ。それが俺の考えを読み、それに応じたと言ったところだろう」
「そんなもの、ほんとにあるんだね……」
ミスリアは流石に参ったような言い方で呟いた。この学園に武器に魔力を付与して攻撃するだなんていう技は存在しないのだろう。
「実はね、前にオロチ君と似たような技を使って私と戦った人がいるんだ。その人も剣から衝撃波を放っていてね……それが、今のネフティス総長をやってるんだけどね」
「――!!」
冗談じゃないのか。今目の前に立つミスリアが正嗣総長の担任もやっていたというのか。そしてそんな総長も俺と同じように衝撃波を剣から放っていた。ということは……
だが、ミスリアは予想だにしない一言を言い放った。
「でも、マサツグ君は魔力値が0に等しかったんだよ」
「え……」
「全くの人間。それも剣の腕だけでこの特殊区分生徒に選ばれたの。それなのに今のオロチ君と同じくらいの衝撃波を放っていたんだ」
……化け物って実際にいるものだな。どうりでネフティスが地球規模にまで発達するわけだ。
「そんなマサツグ君が今では『電光石火』なんて呼ばれるくらいまで強くなって……多分今の人類の中だったら一番強いんじゃないかな」
「…………」
これには大袈裟だなんて言えなかった。実際そうだと思い込んでるからだ。恐らく副総長の蒼乃さんとの差は計り知れないと言ってもいいだろう。
実際に総長が戦ってるところは見たことが無いが、多分今の俺の全力で立ち向かったとしても5分もかからないだろう。
「んじゃ、そんなマサツグ君を超えられるようにひたすら特訓だよ!」
「え、ちょおい!」
いつの間にかミスリアの右手に収まっていた剣が突如として俺の首元を襲った。とっさに背中の魔剣を抜いてはぶつける。
「そんなんじゃ一番にはなれないよ! ほらもっと!!」
「ちょっ……いきなり何なんだ」
「もっと君の本気、見せてよ!」
「言われてすぐ出せるものじゃねぇぞ……!」
こんなやりとりをしながらの剣撃が2時間に渡って続いた。全ては現ネフティス総長――桐谷正嗣を超えるために。俺を永久に苦しめる宿命に復讐を果たすために。
俺はその思いをひたすら剣に纏わせてはミスリアに向かって振り続けた。
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