73 / 232
第三章 学園惑星編
第七十二話「クラス替え」
しおりを挟む
後日、ここネフティス養成学校……及びにアルスタリア高等学園の正門に貼られたクラス表が多くの新入生達で埋め尽くされていた。同じクラスで喜ぶ友達同士やその逆もいれば、写真を撮っている人もいる。
……というか、何故人間はこんな些細な事に執着するのだ。たかがクラス決めだろうに。
「……」
「大蛇、随分と深刻な顔をしてるな」
いつの間にか隣に来ていた亜玲澄が話しかけてきた。あれから……謎の炎の檻の爆発をまともに受けてからの傷はほとんど回復していた。
「……昨日の疲れだ」
「いや~、あれは流石に疲れるよな……お互い使い慣れない神器使ってたし」
この喋る魔剣は本当に神器なのだろうか。まぁ、外見からして神器と言われても不思議では無いが。
「……というか、お前もよくその指輪を使おうと思ったよな。危ないとは思わなかったのか?」
「そ、それは……少しは思ったけど……」
入学前にフランスから感謝状と共に所持することを許可された、今は亡きシンデレラ宮殿の象徴『スタニッシュリング』。その力の正体は始祖神の加護……に加え、もう一人の亜玲澄の力を解き放つ太陽神の加護も眠っていた。
実質二人分の神の加護がその指輪に籠められているというのに、あの時の亜玲澄はよく使いこなせたなと思う。何故ならあの指輪は加護が強い分、あまりに大きい代償が降りかかるからだ。
「でも心配するなよ、大蛇! これでも二重人格も使いこなせるようになったからな」
「それも指輪に関わるのか」
「今回の試験でそれも使いこなせないと前みたいに暴走する事も分かった。正直俺は舐めていた……始祖神の加護ってのをな」
始祖神……始祖神ゲイム。神を、概念を超越し、誕生させた『全』そのもの。神々が誕生してすぐ世から消えたとされ、数多の叙事詩や神話にもその名は伝えられていない。
だが、ある時何故か地球にその名と伝説は伝えられるようになり、今では『全知全能を誕生させた神』……即ち始祖神として世界中で言い伝えられている。
――始祖神か。これによって運命はより厄介かつ複雑になりそうだな。
「たとえ残酷に定められた運命でさえも段々とややこしくなるんだな……」
ぼそっと独り言を吐いている間に、もうクラス表が目の前に現れた。
「さて、俺のクラスは……」
亜玲澄が自分のクラスを確認する。それにつられて俺もクラス表を上から下にかけて眺める。
「俺は……B組か」
「……もう見つけたのか」
亜玲澄はB組。ちなみにそのクラスに正義やエレイナの名前は無かったらしい。
「……」
見つからない。俺の名前が見つからない。どこだ。どこにある……!
「…………」
クラス表に貼られているのはAからC組まで。そのどこにも俺の名前が無い。
「……無い」
「は? そんなわけ無いだろ! よく探せばあると思うが……」
亜玲澄もクラス表の隅々まで見て俺の名前を探す。やはり俺の名前は無かった。
「俺……まさか不合格とか言わないよな」
「それはないと思う」
いや、そう言われても名前が無いならそうとしかあり得ないはずだ。あれか、教会を粉々にしたから強制退学するとでも言うのか。
新入生達が続々と学園の正門を通る。そんな中、未だ名前すら見つけられない俺である。
そして、それが証明された瞬間だった。
「……無い。大蛇の名前がどこにも無い……!!」
これには亜玲澄も驚きを隠せない。何度も確認するが、『黒神大蛇』の名はどこにも無い。
「……本当に退学とはな」
「まだ退学って決まった訳では無いだろ……流石に何か裏があるぞ」
出来ればそう信じたい。宿命に抗う者が学校の門すら通れないのはいくらなんでも酷すぎる。
「何で……俺だけ……」
ちなみに亜玲澄はB組、正義はC組であった。……って、少し待て。重要な人物をもう一人忘れている。
「亜玲澄……エレイナの名前も無いぞ」
「――! 嘘だろ……!?」
『一年生の皆様、これから各クラスにて集会を行います。クラス表に従い、一年生は各教室で待機してください』
無駄に大きいアナウンスの声が聞こえ、一先ず亜玲澄とはここで別れた。
――これから俺、どうなるんだ……
……というか、何故人間はこんな些細な事に執着するのだ。たかがクラス決めだろうに。
「……」
「大蛇、随分と深刻な顔をしてるな」
いつの間にか隣に来ていた亜玲澄が話しかけてきた。あれから……謎の炎の檻の爆発をまともに受けてからの傷はほとんど回復していた。
「……昨日の疲れだ」
「いや~、あれは流石に疲れるよな……お互い使い慣れない神器使ってたし」
この喋る魔剣は本当に神器なのだろうか。まぁ、外見からして神器と言われても不思議では無いが。
「……というか、お前もよくその指輪を使おうと思ったよな。危ないとは思わなかったのか?」
「そ、それは……少しは思ったけど……」
入学前にフランスから感謝状と共に所持することを許可された、今は亡きシンデレラ宮殿の象徴『スタニッシュリング』。その力の正体は始祖神の加護……に加え、もう一人の亜玲澄の力を解き放つ太陽神の加護も眠っていた。
実質二人分の神の加護がその指輪に籠められているというのに、あの時の亜玲澄はよく使いこなせたなと思う。何故ならあの指輪は加護が強い分、あまりに大きい代償が降りかかるからだ。
「でも心配するなよ、大蛇! これでも二重人格も使いこなせるようになったからな」
「それも指輪に関わるのか」
「今回の試験でそれも使いこなせないと前みたいに暴走する事も分かった。正直俺は舐めていた……始祖神の加護ってのをな」
始祖神……始祖神ゲイム。神を、概念を超越し、誕生させた『全』そのもの。神々が誕生してすぐ世から消えたとされ、数多の叙事詩や神話にもその名は伝えられていない。
だが、ある時何故か地球にその名と伝説は伝えられるようになり、今では『全知全能を誕生させた神』……即ち始祖神として世界中で言い伝えられている。
――始祖神か。これによって運命はより厄介かつ複雑になりそうだな。
「たとえ残酷に定められた運命でさえも段々とややこしくなるんだな……」
ぼそっと独り言を吐いている間に、もうクラス表が目の前に現れた。
「さて、俺のクラスは……」
亜玲澄が自分のクラスを確認する。それにつられて俺もクラス表を上から下にかけて眺める。
「俺は……B組か」
「……もう見つけたのか」
亜玲澄はB組。ちなみにそのクラスに正義やエレイナの名前は無かったらしい。
「……」
見つからない。俺の名前が見つからない。どこだ。どこにある……!
「…………」
クラス表に貼られているのはAからC組まで。そのどこにも俺の名前が無い。
「……無い」
「は? そんなわけ無いだろ! よく探せばあると思うが……」
亜玲澄もクラス表の隅々まで見て俺の名前を探す。やはり俺の名前は無かった。
「俺……まさか不合格とか言わないよな」
「それはないと思う」
いや、そう言われても名前が無いならそうとしかあり得ないはずだ。あれか、教会を粉々にしたから強制退学するとでも言うのか。
新入生達が続々と学園の正門を通る。そんな中、未だ名前すら見つけられない俺である。
そして、それが証明された瞬間だった。
「……無い。大蛇の名前がどこにも無い……!!」
これには亜玲澄も驚きを隠せない。何度も確認するが、『黒神大蛇』の名はどこにも無い。
「……本当に退学とはな」
「まだ退学って決まった訳では無いだろ……流石に何か裏があるぞ」
出来ればそう信じたい。宿命に抗う者が学校の門すら通れないのはいくらなんでも酷すぎる。
「何で……俺だけ……」
ちなみに亜玲澄はB組、正義はC組であった。……って、少し待て。重要な人物をもう一人忘れている。
「亜玲澄……エレイナの名前も無いぞ」
「――! 嘘だろ……!?」
『一年生の皆様、これから各クラスにて集会を行います。クラス表に従い、一年生は各教室で待機してください』
無駄に大きいアナウンスの声が聞こえ、一先ず亜玲澄とはここで別れた。
――これから俺、どうなるんだ……
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
幼女エルフの自由旅
たまち。
ファンタジー
突然見知らぬ土地にいた私、生駒 縁-イコマ ユカリ-
どうやら地球とは違う星にある地は身体に合わず、数日待たずして死んでしまった
自称神が言うにはエルフに生まれ変えてくれるらしいが……
私の本当の記憶って?
ちょっと言ってる意味が分からないんですけど
次々と湧いて出てくる問題をちょっぴり……だいぶ思考回路のズレた幼女エルフが何となく捌いていく
※題名、内容紹介変更しました
《旧題:エルフの虹人はGの価値を求む》
※文章修正しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる