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第二章 シンデレラ宮殿編
第六十話「相反せし姉妹」
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緊急任務:『黒花』レイアの討伐、シンデレラ宮殿の象徴「スタニッシュリング」を奪還
遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ、錦野蒼乃、涼宮凪沙、桐谷正嗣、桐谷優羽汰、桐雨芽依、パンサー(一時加勢)
それぞれ相反する色に光る剣を交わらせる。大蛇の恋人である妹のエレイナと、『黒花』と呼ばれる姉のレイア。2人が繰り広げる史上最恐の姉妹喧嘩を亜玲澄達はその行く末を見届けることしか出来ない。
「ふっ……!」
「うっ……!!」
避けては避けられの繰り返し。未だお互い傷すらつけられていない。
「どうしたのかしら? もうギブアップなのかしら?」
「そっちこそ攻めて来ないじゃない。私にビビってるの?」
言い合った瞬間、再び2人は睨み合って周囲に稲妻を生み出す。
「おいおいどうなってるんだ……」
「俺達も気を抜いていられない。また花びらが精製されるぞ!」
優羽汰の指示に全員がレイアの頭上を見る。そこには今までとは比にならないほどの花びらが同じ方向に回りだし、一つの球体を作り出してるのが見えた。
「あれをエレイナさんに当てるつもりなのですね……」
「でもあの花びら……一枚ずつに魔力を感じるよ」
しかし、そんな事で屈する時間は与えられない。全員が大蛇と亜玲澄、そしてエレイナを守りながらレイアの頭上にある花びらの球体を破壊する。
「おい、どれだけ走っても近づける気配すらねぇぞ!!」
「どれだけ狙ってもトランプが当たらないだと……!?」
「くっ……何なんだこの魔法は!」
それでも近づこうと走っても球体……いや、エレイナとレイアとの距離は変わらない。
「あれ……ボク、これ前にも見た事が……」
はっきり覚えてる。昨日の深夜……いや、今日の朝かな。おっ君とボクが何故か戦っていて……その時のボク、誰かに身体を乗っ取られてる感じがしてて……そしたらおっ君が緑色に光りだして――
「芽依ちゃん、危ない!」
「凪沙ちゃ――」
刹那、いつの間にか芽依に迫ってきた花びらの球体を凪沙が庇って受けていた。球体の中で凪沙の身体が鮮血を出しながら切り刻まれる姿が芽依の目に焼き付いた。
「凪沙ちゃん!!!」
「焼き払え!!!」
少しでも凪沙のダメージを抑えるために優羽汰は刀身を竜閃之剣に変化させ、黄金色のブレスで球体を焼き払う。
だが、ブレスは球体の勢いに負けて呆気なく打ち消された。
「ちっ、効かないのか!」
「優羽汰さんの神器でさえも通用しないのですか……!?」
「恐らくあの花びらの球体は魔力を一切無効化する能力があるのだろう。そうだとしたら俺達に打つ手は無い」
「ならあのまま凪沙さんを見殺しにするんですか! そうやって簡単に諦めるんですか!!」
「近づけない上に禁忌を含む魔力を無効化する。そんないかれた能力を持つあれに勝てるわけがない」
「そうかもしれませんが、多少の時間稼ぎになるのではないでしょうか! 地道な作業ですが、それしか凪沙さんを救う方法はありません!!」
蒼乃は宮殿内に大きく響くほどの大声を出して優羽汰の説得を試みる。
何としてでも凪沙さんを……私の唯一の相棒を助けたい。死なせたくない。もう私の身近な存在の死を見たくない――
『――おっ君、助けを求めてる人がいるよ。助けてあげて……』
また聞き覚えのある声が聞こえる。今度は何なんだ。助けを求めてるだと? 実質半身マンの俺に何が出来るんだ。
『私からも、お願い。その人は私の大事な人。私の全てを託した子なの』
……あぁ、そうか。やっぱりそうなのか。思い出せた。お前はあの錦野蒼乃の……
「お……か………さ……」
『ふふ、そうよ。あの子は私の大事な娘。あの子に私と同じ結末を辿ってほしくないの。大切な人を何度も奪われて、無力な自分に嫌気が差したまま死ぬ。これ以上ない屈辱は無いでしょう?』
俺だけじゃ無かった。凪沙さんや蒼乃さん、そしてお母さんでさえも自分や身近な存在がそんな残酷な運命を辿りたくない、辿ってほしくないと思っている。知らない所で皆、暗黒神の陰謀に抗っているんだ。
『もちろん貴方にもよ、おっ君。暗黒神の歪んだ宿命に負けないで。皆を……うちの蒼乃を助けてあげて――』
途端、真っ暗な視界に微かなエメラルド色の光が点滅する。あの光が見える度に右半身の感覚が戻り、消えたら無くなるを繰り返していた。
「大蛇さん……?」
蒼乃が素っ頓狂な声で俺の名を呼ぶ。すると光が更に強くなるのを感じた。
「おい……黒坊なんか光ってるぞ!」
「黒神……!」
突然の事で心配したのか、正義と優羽汰が俺の元に駆けつける。
『さぁ、起きておっ君。蒼乃や皆のために……一緒に戦おう』
――あぁ、言われなくてもそのつもりだ……智優美さん。
「『天廻光波』」
刹那、俺の身体からエメラルドの光が爆発を起こすように放ち、宮殿を包み込む。光は黒い花を一瞬にして消し、凪沙を覆った球体すら簡単に浄化した。
「大蛇君……!」
俺の復活に気づいたエレイナが笑顔を向けるも、俺はそのまま通り抜けてレイアの前に現れる。
「……エレイナ、自分の手を血で汚すな。人殺しは俺だけで十分だ」
遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ、錦野蒼乃、涼宮凪沙、桐谷正嗣、桐谷優羽汰、桐雨芽依、パンサー(一時加勢)
それぞれ相反する色に光る剣を交わらせる。大蛇の恋人である妹のエレイナと、『黒花』と呼ばれる姉のレイア。2人が繰り広げる史上最恐の姉妹喧嘩を亜玲澄達はその行く末を見届けることしか出来ない。
「ふっ……!」
「うっ……!!」
避けては避けられの繰り返し。未だお互い傷すらつけられていない。
「どうしたのかしら? もうギブアップなのかしら?」
「そっちこそ攻めて来ないじゃない。私にビビってるの?」
言い合った瞬間、再び2人は睨み合って周囲に稲妻を生み出す。
「おいおいどうなってるんだ……」
「俺達も気を抜いていられない。また花びらが精製されるぞ!」
優羽汰の指示に全員がレイアの頭上を見る。そこには今までとは比にならないほどの花びらが同じ方向に回りだし、一つの球体を作り出してるのが見えた。
「あれをエレイナさんに当てるつもりなのですね……」
「でもあの花びら……一枚ずつに魔力を感じるよ」
しかし、そんな事で屈する時間は与えられない。全員が大蛇と亜玲澄、そしてエレイナを守りながらレイアの頭上にある花びらの球体を破壊する。
「おい、どれだけ走っても近づける気配すらねぇぞ!!」
「どれだけ狙ってもトランプが当たらないだと……!?」
「くっ……何なんだこの魔法は!」
それでも近づこうと走っても球体……いや、エレイナとレイアとの距離は変わらない。
「あれ……ボク、これ前にも見た事が……」
はっきり覚えてる。昨日の深夜……いや、今日の朝かな。おっ君とボクが何故か戦っていて……その時のボク、誰かに身体を乗っ取られてる感じがしてて……そしたらおっ君が緑色に光りだして――
「芽依ちゃん、危ない!」
「凪沙ちゃ――」
刹那、いつの間にか芽依に迫ってきた花びらの球体を凪沙が庇って受けていた。球体の中で凪沙の身体が鮮血を出しながら切り刻まれる姿が芽依の目に焼き付いた。
「凪沙ちゃん!!!」
「焼き払え!!!」
少しでも凪沙のダメージを抑えるために優羽汰は刀身を竜閃之剣に変化させ、黄金色のブレスで球体を焼き払う。
だが、ブレスは球体の勢いに負けて呆気なく打ち消された。
「ちっ、効かないのか!」
「優羽汰さんの神器でさえも通用しないのですか……!?」
「恐らくあの花びらの球体は魔力を一切無効化する能力があるのだろう。そうだとしたら俺達に打つ手は無い」
「ならあのまま凪沙さんを見殺しにするんですか! そうやって簡単に諦めるんですか!!」
「近づけない上に禁忌を含む魔力を無効化する。そんないかれた能力を持つあれに勝てるわけがない」
「そうかもしれませんが、多少の時間稼ぎになるのではないでしょうか! 地道な作業ですが、それしか凪沙さんを救う方法はありません!!」
蒼乃は宮殿内に大きく響くほどの大声を出して優羽汰の説得を試みる。
何としてでも凪沙さんを……私の唯一の相棒を助けたい。死なせたくない。もう私の身近な存在の死を見たくない――
『――おっ君、助けを求めてる人がいるよ。助けてあげて……』
また聞き覚えのある声が聞こえる。今度は何なんだ。助けを求めてるだと? 実質半身マンの俺に何が出来るんだ。
『私からも、お願い。その人は私の大事な人。私の全てを託した子なの』
……あぁ、そうか。やっぱりそうなのか。思い出せた。お前はあの錦野蒼乃の……
「お……か………さ……」
『ふふ、そうよ。あの子は私の大事な娘。あの子に私と同じ結末を辿ってほしくないの。大切な人を何度も奪われて、無力な自分に嫌気が差したまま死ぬ。これ以上ない屈辱は無いでしょう?』
俺だけじゃ無かった。凪沙さんや蒼乃さん、そしてお母さんでさえも自分や身近な存在がそんな残酷な運命を辿りたくない、辿ってほしくないと思っている。知らない所で皆、暗黒神の陰謀に抗っているんだ。
『もちろん貴方にもよ、おっ君。暗黒神の歪んだ宿命に負けないで。皆を……うちの蒼乃を助けてあげて――』
途端、真っ暗な視界に微かなエメラルド色の光が点滅する。あの光が見える度に右半身の感覚が戻り、消えたら無くなるを繰り返していた。
「大蛇さん……?」
蒼乃が素っ頓狂な声で俺の名を呼ぶ。すると光が更に強くなるのを感じた。
「おい……黒坊なんか光ってるぞ!」
「黒神……!」
突然の事で心配したのか、正義と優羽汰が俺の元に駆けつける。
『さぁ、起きておっ君。蒼乃や皆のために……一緒に戦おう』
――あぁ、言われなくてもそのつもりだ……智優美さん。
「『天廻光波』」
刹那、俺の身体からエメラルドの光が爆発を起こすように放ち、宮殿を包み込む。光は黒い花を一瞬にして消し、凪沙を覆った球体すら簡単に浄化した。
「大蛇君……!」
俺の復活に気づいたエレイナが笑顔を向けるも、俺はそのまま通り抜けてレイアの前に現れる。
「……エレイナ、自分の手を血で汚すな。人殺しは俺だけで十分だ」
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