婚約破棄されまして(笑)

連載

若奥様は身重です！ 19

「さっそく使うですー！」

「どんどん置くですー！」

元気な掛け声と共にわらわらとクッションを持ってやって来るちびナビちゃん達。
私とアニスの周りにやって来てクッションを横から差し込んだり背後にシュッと置いていく。
仕事が早い！

「クッション配置完了ですー！」

「休んで下さいですー！」

「ですって、ちょっと休んでみましょうアニス」

「はい……」

そっと体から力を抜いて背もたれにより……あら！良い塩梅だわ！

「これは気持ち良いわねぇ……」

「はい……これはとても休まりますね……」

妊婦じゃなくてもダメになる気持ち良さ。
思わず瞼を閉じてしまった。だって気持ち良いんですもの。

……ハッ！寝て……た？

「寝落ちしてたかしら？」

「大丈夫ですー！」

「ほんのちょっとですー！」

「そう……？」

アニスは夢の中でした。なんてこったい、こんなにあっさりと寝落ちしてしまうなんて……なんて恐ろしい罠（笑）

「ナビから連絡来たですー！」

「今は疲れやすいから、気兼ねせずに休むのが大事ですー！」

「だから安心して休んでほしいですー！」

「ありがとう」

なんて……なんて妊婦に優しい世界！適度な運動に美味しいご飯に体一番にのんびり過ごして良いとか最高過ぎる！

私とアニスはちびナビちゃん達にお世話して貰いながら日々過ごしてました。
エリノユの街にお出かけは禁止されました。変わりにルークとキースが行ってくれるそうです。
え？あの二人のお出かけは主に種と苗木の配送と説明です。
気持ち的にはのんびりでしたが、やはり日を追う毎にお腹から感じる存在感！そして遅々としか進まない地下の改造！入り口周りは東南アジア風リゾート地みたいになりました！
入り口挟んだ向かい側に建てた戸建てはあえて言うと、タイ風レストランになってしまいました（笑）
四阿と同じ様に鮮やかな花々が飾られ、竹や藤素材の家具と色とりどりのクッション等が置かれ、いつでもゆったり過ごせる様になっています。
地下は迷宮じゃなければダンジョンでもなく、階層毎にテーマを設けてお部屋の内装を決める事にしました。
地下一階は海面も近い事もあって非常に明るく、特に灯りも必要を感じない。
広いホールを四方に作り、思い思いに休んだり遊べる様に家具を配置して、後はちびナビちゃん達に任せた。