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慌ただしい日々 34

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……あれから三日経ちました。
私達は長い隊列を組んで帝国の街道を進んでます。
本当は後一週間は皇宮で過 ごす予定でしたがお母様の一言で今朝出立となりました。
で、私は今……馬車の中ではなく島で過ごしてます。
もちろん妊娠中のアニスと二人してちびナビちゃん達に上げ膳据え膳のおもてなしを受けてます。
島の北部の街の端に建てられたシャレオツな南仏風レストランの個室です。
移動も徒歩ではなく小さくて可愛い車(ルーク製作の魔石自動車というらしい。いったいいつのまに……)で連れて行って貰いました。
それにしてもちびナビちゃんが運転席って視界の暴力!
良く見たら全部手元で操作する様に作られてました!
そしてスピードはウサギとカメの二種類!どこのトラクターなのか!いや、慌てる必要のない島らしい乗り物です。
ハンドルとスピードの選択ボタンとブレーキの⊗ボタンだけというシンプルな物。
ミラーもついてません。なぜなら一台だけだからだそうです。
基本歩いたり走った方が速いらしいです。
確かにカメの速度はノンビリでした。普通に私の歩行速度より遅いです。
ちなみに私の毎朝のルーティンは色々変更されました。
ランニング禁止なので、フラストレーション溜まりまくってムダに犬の躾に力が入るっていう連中にとって嬉しい結果となって私のストレスがさらに溜まると言う悪循環に!
チクセウ!単なるご褒美かよ!
いけない……これではせっかくの南仏風シャレオツカフェの存在意義!

「ふぅ……エリーゼ様、このたんぽぽコーヒーってケーキに良く合いますね」

「えっ?ええ、そうね」

いけないいけない。優しい花の香りが風に運ばれ、美味しいケーキとたんぽぽコーヒーを楽しんでるというのに……

「ふふっ……覚えてますか?一番最初のケーキ」

一番最初のケーキ……忘れないわよ。婚約破棄されたばかりの私を励まそうと記憶を頼りに作ってくれたケーキ……

「もちろんよ。忘れるなんて出来ないわ……」

「今思えばアレをケーキと言って出したのは恥ずかしい思い出です……」

「でもあの時はあれが作りうる最高のケーキだったと思うわ。ありがとうねアニス」

アニスが私の言葉に目を見開いて、ジワリと浮かぶ涙に私は内心驚く。

「エリーゼ……様……」

「何よアニスったら……」

「だって私……エリーゼ様に元気出して貰いたくて……」

「ありがとう。あの時、本当に嬉しかったの……一生懸命作ってくれて……あの頃は材料だって殆ど無くて……アニスだけじゃない、皆の気持ちが今も嬉しい……」

「エリーゼ様の幸せが私達の幸せですから!」

泣きながら力強く言われ私も涙をこぼしながら微笑む。
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