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慌ただしい日々 14

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「お久しぶりですね、エリーゼ様」

「はい。ご無沙汰ぶりです」

お互い軽い礼をして微笑み合う。かつては義理の姉妹的な存在として王宮でお茶会をした間柄で、色んな話しをした事もある。
特に仲が良くも悪くもなかった。

「王都はかなり打撃を受けたわ……あの愚かな弟のおかげでね。貴女には苦労をかけたわね……いえ、今もかけてるのかしら?」

思案顔で話される内容に、それなりの情報が流れてるのが分かる。

「いえ。苦労ではありません。こちらにはこちらの事情もありますから」

「そう……王都民を数多く受け入れてるという事しか、こちらには流れて来ないのだけど……そちらには苦労ではないのね」

「はい。ご存知だと思いますが我が国は数多の大型の魔物が存在しております。戦う術を持たぬ民草が被害に合う事は少なくありません。どこの者でも我が国に居着いてくれるなら幸いという言葉ですわ」

私の言葉に僅かとは言え目を見開くとコクリと喉が上下したのが分かった。
帝国に輿入れする時に大型の存在を肌で感じたのだろう。たとえ短期間とはいえ我が国を抜けなければ帝国入りは出来ない。

「そう……そうね……大型を馬車の窓から見た事があるわ。あんなに大きく恐ろしい魔物に立ち向かうシュバルツバルトの兵士達は正に勇猛果敢。尊敬に値する方達でした。それに比べて我が兵団の情けなさに、これ程違うのかと考えさせられました。これからシュバルツバルトは公国としてあり続けるのでしょうね……オーガスタ王国はおそらく今までの様な立場ではいられないでしょう」

輿入れして様々な事を知ったのでしょう、咲き誇る華の様な王女殿下だった。

「先の事は私も分かりません。ただ出来るだけの事をするだけです。シュバルツバルトは今までもこれからもそうあり続けるだけですわ」

「そうね。貴方達は変わらないのね……ありがとう。これからも仲良くしてくれると嬉しいわ」

小首を傾げて微笑む姿にかつての姿が重なる。

「ええ、私は変わりませんわ。立場派変わりましたけど、私達はちゃんと姉妹になりましたのよ。ジュリエッタお姉様」

私よ言葉にジュリエッタ様のシロイ頬に涙が伝い落ちる。

「ありがとう……ありがとうエリーゼ様……貴女からお姉様と呼ばれると……どうしてかしら涙が……」

静かに近寄りジュリエッタ様の涙をドレスの袖で軽く押さえて吸い取る。

「お姉様、大丈夫ですわ。お困り事があったら誰かシルヴァニアの者に手紙を託して下さい。必ず私の元に届きますわ。シルヴァニアは私のもう一つの故郷となりましたの、多少のわがままも許されますわ」

「まあ……!そう……そうなのね。凄いわね」

「はい。凄いでしょう」

コロコロと笑い合った後、静かにジュリエッタ様は皇族の皆様方の所へと戻って行った。
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