婚約破棄されまして(笑)

連載

目指せ！義実家！ 25

「どうした？」

私が無言で宮殿を見回してるから不思議そうに私を見つめながら聞いてくる。

「ん？気のせいだとは思うけど、何か違和感があるから……」

「違和感？……ああ！レリーフとかのせいじゃないかな！ほら！ちゃんと見て！」

ぬ……？レリーフ……だと？ハッ！随所に隠れミッ……みたいにネコが！

「ネコ好きにも程があるわよ……」

「ハハハ！可愛いだろ！探すのも楽しいかと思って！」

お茶目さんか！いや、何でそんな事やってんのか？と考える。
うん、隠れなんちゃらを探すの好きなタイプだったかも知れない。
とりあえず確認しておくか。

「某テーマパークで隠れてるの探すの好きだった？」

「勿論！情報交換もやってたな！」

オタ……ガチオタ勢なのか……？

「あ！俺はあそこのガチヲタ勢じゃないから。楽しむのが好きなだけで、溺愛してないから」

「そう……」

「ホント、ホントだって！あの手合で一番好きなのは超有名魔法学校の所だから。夢あるだろ？あそこ」

「夢？」

「こっちだと魔法は当たり前だけど、前世だと別世界だからさ」

「……？でもあのお話しの基礎的な部分はイギリスの階級制度が分からないと深掘り出来ないでしょ？」

「それな！兄貴がイギリス留学して、色々教えて貰って理解したんだよな！」

「そう。あれはちょっと分かりづらいわよね」

「てか、そこを理解してるエリーゼの方が凄い気がするんだけど」

エスコートされるままにゆっくり歩きながら小声でやりとりする。

「祖父母の実家が旧華族だったから、そのあたりは理解するしかなかったとしか言えないわ」

「スゲェな……現代日本でも旧華族とか通用したの？」

「したわね。それなりにお付き合いがあったみたい。うちは祖父母が離れたから関係無かったけど……」

「大変だったんだな……あ！ここだよ！」

二階のどん突きのそれは大層華美な扉の前で先導してた執事（多分）がサッと端に寄ってお辞儀する。
扉の前に立っていた騎士（キラキラした騎士服からして立場はそれなりに高いと予想）が静かに扉を開ける。
観音開きですか……うん。しばらくこの対応をされてないから、ちょっと感慨深いわ。

「彼女は大切な妻で私より高位な立場にあたる。以後弁えよ」

ルークの言葉に執事と騎士達がスッと跪いた。