婚約破棄されまして(笑)

連載

春が来た！ 116

さて、我が家のダンス事情。ハッキリ言うとハード。シュバルツバルトの古典曲は長い、そしてスピーディー。
優雅さを競うかの様な王宮のダンスとは違って、スピーディーでリズミカル。
前世で言う所の社交ダンスのスタンダードとラテン位違う。雰囲気的に。
古典曲ばかりをやるわけではないけど、婚姻式は古典曲メインとなるから大変だ。
なので婚姻式の宴の参加者は動きやすい昔ながらのドレス、エンパイアスタイルを着てくるのが普通なのだけど……きっとラーラルーナ様は持ってないと思うのよね。

「ラーラルーナ嬢はこちらのドレスは持っているだろうか？」

「え？ドレス……ですか？」

「今日は母上もエリーゼも着てないな……婚姻式の宴ではダンスの踊りやすいドレスを身に纏うのだが……母上、今日はラーラルーナ嬢にこちらのドレスも見繕って下さい。折角の宴で壁の花では勿体ない」

勿体ないとか言うなし……

「あら、そうね。ラーラルーナ嬢には何着か見繕いましょうね。ね、エリーゼ」

「はい」

うん？何着ですって？お母様ノリノリですね。あれかな？若いお嬢さんのドレスを見立てる楽しみとか？

「フフフ……エリーゼにはもう、うんと仕立てさせたからね」

ヒイッ！お母様が何か怖い事言ってる！うんとって何着よ！怖くて聞けないわよ！

「ありがとうございます。昨日、こちらに来てから皆様のお召し物が素敵過ぎて少し気後れしてましたの……」

やだ！何、その恥じらった言い方！可愛い～！こんなに可愛い方がお姉様！

「お義姉様！沢山ドレスを見て下さいませね！ああ！私もとっても楽しみだわ！お飾りも色々ありますのよ！今日だけで足りるかしら？」

「そうね！今日だけで足りないかも知れないわ！履き物だって何だって用意しないとね！忙しくなるわぁ！」

「あっ……あのっ……」

「ええ、心配なさらないで。我が家から贈った物は好きにして良いのよ。無くなったのなら新しく誂えれば良いだけだから」

本気ですよ。お母様の本気が丸出しのモロ出しですわよ。

「えっ！あのっ！」

「ホホホホホ……誰にでも好みがありますもの、その程度の事気にしませんよ」

うん。だって今のドレスの材料費が只に近くて、掛かってるのなんて人件費（しかも殆ど只）位だもの……あえて言うなら、キャスバルお兄様が討伐した大型素材がお金掛かってるかなって位だもの。
それだって秋冬用の物だから……ね……