婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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春が来た! 115

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「ああ……ラーラルーナ嬢にホットミルクを……」

あ……ルーク自ら地雷を踏み抜きに行ったわ……ほら、ラーラルーナ様がルークを見る目がちょっとおかしくなってきたわよ……

「ホットミルク……ですか。こちらには乳製品があるのですね。羨ましいですわ」

「ええ。サテュロスの雌が乳だけでなく、様々な乳製品を作り出せるのでテイムして我が家の敷地内に住んで貰ってますの」

おかげで乳製品は独占販売ですのよ!オーホッホッホッ!

「まぁ!とても広いんですのね!」

ちょっとした山一つ分ありますから。我が家の敷地。

「ええ!私にもホットミルクを、ハチミツを入れてね」

「畏まりました。大さじ一杯でよろしかったでしょうか?」

「ええ」

「あ!私には何も入れないで下さるかしら?それにしてもルーク殿下は何故ホットミルクを?」

「えっ?えー……パンにはホットミルクが合うから……かな?」

違うでしょ!ホントはホットミルクが好きとか知ってるからでしょ?!だからホットミルクをサッと言ったんじゃないの?そう言う所よ!ルークったら!

「あ……ああ、そうなんですね……」

あー……ラーラルーナ様、ぎこちない笑顔浮かべちゃってるじゃない。身バレするのも目前な気がする……

「お待たせ致しました」

コトンと置かれたマグカップに僅かな湯気が立っている。熱すぎるホットミルクは膜が張るから、温度には気を付けて貰ってるのよね。
マグカップを手に取り、ゆっくりと口をつける。仄かなハチミツの香り、ミルクのコクと甘味も美味しい。

「このホットミルク、凄く美味しいわ!」

ラーラルーナ様が嬉しそうに声を上げます。そうでしょうそうでしょう、サテュロスのミルクは本当に美味しいんですもの。

「ウフフ……気に入って頂けて嬉しいわ。滞在中の間は乳製品を使った料理や甘味を楽しんで頂きたいわ」

ええ!チーズも生クリームもバターもたっぷりありますもの!カロリーを考えずに食べて欲しいわ!そしてキャスバルお兄様とダンスでもして、カロリー消費をして欲しいわ!

「カロリーモンスターじゃないのか?」

ルーク!いらん事言うな!

「かっ……!」

ラーラルーナ様理解した!早い!

「大丈夫ですわ!キャスバルお兄様!ラーラルーナ様がこちらにいる間は毎日ダンスのお相手なさるのよね?」

「ん?ああ!婚姻式の宴の時、気持ち良く踊れる様に夕食前にでも一時間程練習しましょうか」

「はっ!はいっ!」

ピンチを切り抜けたかな?気を抜いたらしい負けだ!
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