婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

文字の大きさ
上 下
1,030 / 1,449
連載

春が来た! 90

しおりを挟む
「ああ、その事なんだが。うちの侍女で年齢も近い者から選ばせてはどうかと思ってる。着いてきた侍女はどうもラーラルーナ嬢を軽視している様な素振りが見えた。この先の事を考えると、とても相応しいとは言えない。ならば我が家の侍女達から選び、我が家に来るまでしっかり側で仕え、より深い信頼関係を結んで貰ってはどうだろうと考えてる」

キャスバルお兄様の言葉にお母様の眉がピクッと動きました。コワー……

「それは由々しき事だわ。エミリ!我がシュバルツバルト侯爵夫人に着くに相応しい者はいたかしら?」

お母様の後ろに控えてたエミリが一礼する。

「はい。年齢も近く、礼儀作法等を鑑みるとエリーゼ様についていたジェニファー・フォン・ルキノが妥当では……と」

え?でもジェニファーってジムと……

「ジェニファーはこの先もエリーゼに付いて貰うつもりです。次点は?」

「次点ではございませんが、先日見習いで採用したジェニファーの妹のマリエルは如何でしょう?十五才ですが中々に見所もありますし、家庭教師からの推薦もきっちり揃っております」

わぁ……ルキノ家って優秀な者が多いなぁって思ってたけど、凄いわね。

「うむ!ルキノ家は忠心篤く、勇猛果敢で礼儀を重んじる一族だ。それがたとえ女性であっても違える事がない。キャスバルに相応しいと言えるのではないか?」

お父様がキリッとしたお顔でお母様を見詰めて仰ったわよ。
お母様も頷いてキャスバルお兄様を見た。

「との事よ。でも彼女一人では選ぶとは言えないから、何名か見繕って夕食前にラーラルーナ嬢の所に出向き選ばせなさい」

「畏まりました」

エミリは返事をするとサッとサロンから出ていき、シンシアがお母様の後ろに控えた。この連携はちょっと憧れる。やっぱり専属侍女が複数名欲しいかも……

「やっぱり専属侍女がつくのか……」

ルークよ、我が家では当たり前の事なのよ。ただの侍女では賄えきれない案件とかもあるのよ、大事な事なのよ。

「ホホホ……専属侍女がいなければ回らない事もありますのよ。我が領は広く、抱えてる寄子貴族も多い。場合によっては主の名代として向かう事もあります、ただの侍女では失礼でしょう?側近とて同じです」

ハッ!として真面目な顔になったルークはやっぱり格好いいです。

「失礼しました。浅慮な事を言いました」

バッ!と頭を下げたルークを見るお母様の目は優しいです。

「その潔さ、私は好きですよ」

良かった。お母様に気に入られる気に入られないは大事な事なので!
しおりを挟む
感想 5,634

あなたにおすすめの小説

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?

時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。 どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、 その理由は今夜の夜会にて

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

悪役令嬢は毒を食べた。

桜夢 柚枝*さくらむ ゆえ
恋愛
婚約者が本当に好きだった 悪役令嬢のその後

【完結】脇役令嬢だって死にたくない

こな
恋愛
自分はただの、ヒロインとヒーローの恋愛を発展させるために呆気なく死ぬ脇役令嬢──そんな運命、納得できるわけがない。 ※ざまぁは後半

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

白い結婚はそちらが言い出したことですわ

来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかバーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。