婚約破棄されまして(笑)

連載

嫁入り支度 107

「ああ……キャスバルとトールとも打ち合わせしていたんだが……」

打ち合わせ？何のかしら……聞いて良い事なら聞くけど、とりあえず今は止めておきましょう。

「それで？」

早言え！

「ノエルの毛並みに皆が嵌まって、最終的には順番で撫でる話しになっていたのだが……」

なるほど！読めたわ……お父様が中々次へとノエルを回さなかったって事ね。子供みたいな事して……

「……どうやら回ってなかったようだな……」

「ええ……」

ふぅ……この手は使いたくなかったけど……

「ノエル～こっちにおいで～タマもトラジもおいで～」

全力笑顔で大きく腕を広げる。

「いくにゃ！」

「主～！」

「主～！」

ノエルもタマもトラジもトタタッ！と駆けよって来る。めちゃ可愛い！
……ドスドスと体当たり……じゃない……抱き付かれて倒れそうな気がするけど、全然倒れませんから！平気ですから！

「狡いぞ！もう少し抱っこ……」

「父上、何を言ってるのです。充分抱っこしていたでしょう」

「本当ですよ。兄貴も俺もずっと待っていたのに全然手放さないで……」

お父様の発言にキャスバルお兄様が反論してトールお兄様が乗っかりました。
まぁ、分かりますよ。ノエルのフワフワでサラサラな毛並み、これぞ長毛種！って毛並みですもんね。
でもね……私のタマとトラジもサラサラツヤツヤで手触り最高！なんですのよ！どうしてノエルだけに嵌まるのよ！

「ああ～！ノエル～！」

解せぬ！

「お父様……どうしてノエルにそんなに執着なさるのですか？」

んっ？急にモジモジしだしたわよ。何か……何か微妙に気持ち悪い感じだわ……

「幼い頃のエリーゼに似てるのだよ……こう……重さとか毛並みもあの位の時の髪の感じに似ててな……」

はぁ？！何言ってるのよ……

「分かります！父上！確かに似てるんですよね！小さくて可愛い俺のお姫様！クリクリのお目々も似てますよね！」

……イケボお兄様よ……何、力説してんのよ……しかも頬染めて拳を握り締めて……

「分かる分かる！あの頃のエリーゼは本当可愛かったよな！」

トールお兄様よ……その言い方だと、今は可愛くないって聞こえますわよ……

「エリーゼ！抑えろっ！そんなに怒る事じゃないだろっ？なっ？」

「へぇ……ルークはお父様達の味方だって言う訳かしら……」

血管がビキビキしてきたわ……