婚約破棄されまして(笑)

連載

嫁入り支度 103

そんな泣きそうなサロンでのお茶会も滞りなく（？）済んで、私とアニスは新館に来てます。
自室に戻る前に覗きに来ました。
昨日の今日なので、手付かずだろうと思ってましたが間違いでした。
渡り廊下から向こうに行けない程、人通り（モリモリ荷物担いでたりするドワーフのおっちゃん達）が凄くて進めません。
そんな中、スイスイと歩くメイド達も凄いんですけどね……私、歩きたくないです。

「この分だと早めに出来上がりそうですね」

アニスの明るい声が微妙にツラいです……

「そうね……アニスは平気なのかしら？」

「何がですか？模様替えの事でしょうか？なら平気です！今回は時間もありますし、きっととても素敵な仕上がりななると思いますよ！」

模様替え？え？私の知ってる模様替えと大分違う気がするのどけど……
それに時間あるって？いつもどんなペースで模様替えしてるのかも謎だし、怖いんですけど。

「そ……そう……」

「アニス様！」

遠くからアニスが呼ば……呼ばれたわよね？あっという間に近づいて来たわよ。侍女だけじゃなくてメイドも移動速度速いんですけど！

「エリーゼ様、ちょっと行って来ますね！」

そう言ってシュンッ！て音がしそうな速度でメイドの元に行くアニスの移動速度には驚きです……そうか……目の当たりのすると、驚き過ぎて声も出ないわー……
しかも二人共、直線じゃないのよ……ジグザグ移動で何やら話し合ってるのよ……
前世は田舎暮らし、今世は令嬢で速さに順応しないで良い暮らしにはビックリする事よ……
そうこうしてる内に話し合いが終わったのか、アニスが戻って来ました。

「凄いわね。二人共サッと近寄って話し合ってね」

ん？アニスが微妙な顔で私を見てます。何でしょう？

「エリーゼ様、エリーゼ様ほ私達よりも遥かに速く移動なさいますよ」

「えっ！」

何を言って……

「良く思い出して下さい。魔物と戦う時とか目にも止まりませんよ」

……？そういやぁ、飛ぶような速さで接近して仕留めてた気がするわ……だって、魔物は躊躇う事なく仕留めるものでしょう？でないと危ないじゃないの……

「ね！エリーゼ様の速さは私達の比では無いんですよ！」

アニス……明るく堂々と言わないで……ちょっぴり傷付くじゃないの……