上 下
914 / 1,397
連載

嫁入り支度 91

しおりを挟む
この領都を囲む石壁の向こうに広がる果樹園の殆どは桃の果樹園で、それらが一斉にピンクの花を咲かせた景色はさぞ壮観に違いない。
お花見とかするのかしら?

「エリーゼ、春になったら桃の花を見に行きましょうね」

「はいっ!」

これはお花見のお誘いですね!楽しみです!うふふ……ルークと一緒に桃の花だけど、お花見できるとか嬉しい♡

「さ、座ってお薦めの甘味を頂きましょう」

「そうでした」

手近な席に座ると店のカウンターから若い女性が出て来ました。

「いらっしゃいませ!ずっとお待ちしておりました!」

ん?お待ちしておりました?なぜかしら?

「私!元王都民でっ……父さんと母さんはエリノユの街に行きましたけど、折角だからって私にこのお店わ任せてくれたんです!ありがとうございます……ありがとうございます、私……シュバルツバルト領に来て良かったです……」

ポロポロと涙を零され、ちょっとだけ困りますが元王都民ね……
んー……?ん?あっ!後から合流した人達にこれ位の年の人いた気がする!

「私達も新しい領民輪迎えれて良かったと思っているのよ。こちらに来て誰か良い方と巡り会えたかしら?」

お母様の言葉に嬉しそうになった顔がカァッ!と赤くなりました!これは良い方見つかったのね!

「はい……あの、はい。領主隊の方が……」

「あら、では上手くいくと良いわね。我が領は所帯を持つ事も家族を増やす事も推奨してるし、お祝いもちゃんとするから安心して一緒になると良いわよ」

お母様……天使の微笑みです。心が洗われるようです……さすがお母様です!

「はいっ!ありがとうございます!」

「では、ここのお薦めの甘味とお茶を頂くわね」

「畏まりましたぁっ!」

元気いっぱいに返事をして踵を返す彼女は、幸せそうで私も嬉しくなる。
そうだ……確か春は恋の季節だって誰かが言ってたような気がする。花が咲くように女の子も春になると可愛くなるのよって……だから春は咲き誇る花に負けないようにおしゃれしないとって……

そうだ……前世のお母さんが言ってたんだ……ピンクのワンピースにリボンのついた髪留めにピカピカしたエナメルの靴……いつだって春になると一緒にお買い物に行って、可愛い服やアクセサリー買って貰ってた……
しおりを挟む
感想 5,613

あなたにおすすめの小説

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

初めまして婚約者様

まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」 緊迫する場での明るいのんびりとした声。 その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。 ○○○○○○○○○○ ※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。 目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

最後に、お願いがあります

狂乱の傀儡師
恋愛
三年間、王妃になるためだけに尽くしてきた馬鹿王子から、即位の日の直前に婚約破棄されたエマ。 彼女の最後のお願いには、国を揺るがすほどの罠が仕掛けられていた。

かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました

お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。