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嫁入り支度 85

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「私達高位貴族の女性であれば乳母がついたり、子供専属の侍女とかもつくのだけどエリーゼにはいなかったでしょう。私達シルヴァニアの女性は誰かの手を借りて育てる事が少ないのよ、だからエリーゼを育てたのは私と言っても良い位なのよ。だからね、安心なさい。私がついてるのよ、もっと自信持って」

意外でした。お母様は元々帝国の高位貴族(公爵)の令嬢なのですが、まさか自ら子育てを実践してる一族だったなんて……
そっか……それで私には乳母がいなかったのですね……

「じゃあ、私も子供には乳母をつけなくても良いのですね」

「当たり前よ。母と娘の間に他人を入れるなんてシルヴァニアでは考えられない事だわ」

……女系で女が尊ばれる一族だっていつだったか聞いたけど、母親と娘ってそんなに強く繋がっているように気を遣われてるって凄いような気がするわ……

「そう……なんですね」

「ええ、それだけ娘という存在は母にとっては大きいのよ。いつかエリーゼにも分かる時が来るわ。私達シルヴァニアの女にとって娘とはどう言うものか……」

お母様の深い微笑みにドキリとする。そうだ……私みたいな前世の知識がある者や特別な能力がある者もいたんだっけ……でも、これ以上この話題に踏み込むのは止めておこう。何せ、ここお店だもの……邸だったら色々聞いちゃうんだけどね。

「そうなんですね。分かる時が待ち遠しいような怖いような気がしてきました。所でお母様、もっと色々見たいですし選んでも良いのですよね?」

「あら!勿論よ。気に入った物があったらどんどん手にして良いのよ」

「嬉しいです、お母様」

そうして壁に掛かった大小様々な額を指で指す。それはどれも可愛い額縁で、バラモチーフや花モチーフで色もパステルカラーだったりピンクや白で可愛いのです。いつか写真とか写せる魔道具とか発明されたら私とルークのツーショットを入れようかと思って。
いつか生まれる子供の姿も収めたい……寝室や居間に飾って好きな時に眺めたらきっと癒されるし、ときめくと思うの……幸せな時間になる……きっと……

「素敵な額縁ね。エリーゼの小さい頃にこのお店があったら、エリーゼの幼い頃の絵画を沢山飾ったのに残念だわ」

お母様も同じ事考えてた?ビックリしてお母様を見詰める。そんな私に気がついて照れた様に笑うお母様可愛いです!そして最高です!
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