婚約破棄されまして(笑)

連載

嫁入り支度 62

とにかくトールお兄様はフレイには甘いのよ。フレイのお願いもあって家畜化すると決めたと思うけど、王国内に流通するボアの肉も元々は牙猪だったのだからミノタウロスも家畜化すればボアと同じように大人しくなるのかしら？それならそれで食生活が豊かになると思うから良いのよね。
……でも牙猪から牙が小さくなったのがボアは分かるとして、ミノタウロスは何かが小さくなるの？それとも牛っぽくなるのかしら？わからないわ……

「畏まりました。では、その様に」

「精一杯作らせて頂きやす……」

さすがに料理長は丁寧だけど……ジム……ちょっと残念よ。

「ええ、お願いするわね。必要な物があれば今すぐ出すけれど？」

料理長に向かって言えば料理長は一つ頷いて、各種スパイスをメインに珍しい野菜なんかを希望してきた。
可能な限り出しましたとも！メイドが次々とワゴンで運んで行ったけど、料理長の前なジム希望のフルーツも山盛りいっぱい持って行ったし今頃厨房は大変な事になってるんじゃないのかしら？

「あら？もう来てたのね」

そう言って食堂に入って来たのはお母様でした。

「おはようございます、お母様」

「おはようございます。お義母上」

私とルークは殆ど同じタイミングでお母様に挨拶をしました。

「おはよう。今日は良い日ね、お出かけ日和ね。ね、エリーゼ」

「はい！お母様」

……お母様の今日のドレスは少し気易い感じのドレスです。やっぱり領都に出るつもりなんですね。
いえ、私も明らかに領都に出るのを意識したドレスなのですけど。

「今日はあの子達を連れて行くのかしら？」

お母様の目がカワイコちゃん達を見てます。うーん……島送りにするかどうか迷ってたんですよね。

「エリーゼ、今日は俺が皆を見ているから安心してお義母上と行って来ると良い」

思いもかけない所から支援入りました！そうね……ルークが見てくれるなら安心だわ。

「お願い出来るかしら？」

「勿論だ。今日はお義父上の手伝いだしな、きっとお義父上は喜ばれるからな」

……あ、あなる程。お父様の可愛い物好きが発覚してから日々強まる視線は私のカワイコちゃん達とのスキンシップを求めていたからなのよね。
不安もあるけど、ルークがいるならお父様も多少は我慢すると思えるものお願いしようっと！

「あんまりお父様を甘やかさないでね、ルーク」

「任せてくれ」

ルークの清々しい笑顔に私も笑顔を返す。これで今日はお母様と安心して過ごせるわ。