婚約破棄されまして(笑)

連載

嫁入り支度 16

それにしてもアニスもキースも帰って来ない……

「いつも誰かしらいたから、こんな風に二人っきりって久しぶりよね？」

「ん？部屋で二人きりは初めてくらいじゃないか？それにチビ達がいるから厳密には二人きりじゃないだろ？」

その通りです。でも、ちょっと考えてみる。カワイコちゃん達はどういう訳かこの広い部屋の隅っこで押しくらまんじゅうの様に固まってる。

「そうね。でもカワイコちゃん達以外誰もいないってのは久しぶりよね？」

うん、やっぱり久しぶりだと思う。いつだってアニスやキースや他の侍女や従者がいた。
この辺が貴族のルールなのよね……多分、二人っきりでイチャイチャ出来るのは寝室位よね？

「そうだな。だが誰かいるのは当たり前だろ？それこそ朝から晩まで傅かれる暮らしが普通の立場だ」

……その通りです。ん？んー……ルークは帝国皇子様だから、それこそ生まれた時から傅かれる暮らしな訳で……

「って、ルークは帝国に小さい頃からの従者とか置いてきぼり？」

「そうだな。だから何人になるか分からないが、帝国から来て貰おうと思ってるんだが……」

歯切れ悪い！小さい頃からだったら、ルークの子供の頃の話しとか聞けれるかしら？
や～ん♡ドキドキするぅ～！

「何か悪だくみしてるな？」

ジト目で見られました。バレちゃった（笑）

「悪だくみじゃないです。ただルークの小さい頃のお話しが聞きたいなぁ～って……ダメ？」

「ん？そんな面白い話しは無い筈だぞ。普通に皇子として毎日頑張ってただけだからな。むしろエリーゼの方が色々面白い思い出話があるよな」

ガビーン！私、そんな面白い思い出話なんて……なんて……あったしー！そりゃもう盛りだくさんあるーー！

「……否定出来ない……」

「ハハハ！だろ。でも楽しい思い出があるって良い事じゃいか」

「そうね」

その通りです。幼少期とか子供時代とかが暗いとかイヤだわ。まあ、親とか周りの環境あるのは分かるけどね。

「エリーゼの場合、力技で嫌な事は全力回避か捻じ伏せてそうだけどな」

……間違ってないけど、言い当てられてると何かバレてるみたいでイヤだわ。

「そのイメージは嬉しくないですぅ」

わざと甘い言い方して拗ねて見せる。見せるだけですよ。本気じゃありません。

「あー……今でも結構力技で片付けてるから小さい頃からかな？と思って」

バレてーら……仕方ない、諦めて小さく頷いて肯定する。