婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 199

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「そうですね。これからいつもよりお酒を飲んだ翌日はあの小さな貝のお味噌汁を出して貰うように致しましょう。きっとお父様もお兄様達も喜びます……わ……」

ってお父様もお兄様達もまだ起きて来てないの?いや、仕事の都合上朝からタイミングが合わない事もしょっちゅうあるけども!昨日ってそんなに……うん、そんなに飲んでたわ。

「……ハインリッヒもキャスバルもトールも昨日は浴びる様に飲んでました。トールは今日も開拓地……エリノユの街でしたね、あちらに行かなければならない筈なのに……弛んでるのかしら?」

オウフ……お母様がちょっとオコに……

「おはようございます」

あっ!ルークが来たワァ。

「あら、早いわね。ホホホ……全く……」

お母様がルークに向ける笑顔はいつもと変わりません。問題はその後聞こえない声で何か仰った事です。
多分、お父様とお兄様達への文句に間違いない!

「美味しそうだな」

ルークが場の雰囲気をあえてスルーして明るく話し掛けてきました!さすが皇子様は堂々としてらっしゃる!

「ええ。美味しいですわよ、ただ何と言ったかしら?あの小さい貝のお味噌汁じゃなかったのが少しだけ残念でしたわ」

お母様……そんなにしじみ汁飲みたかったのね。

「ああ……分かります。飲む過ぎた翌日の朝は飲みたくなりますよね」

実にサラリーマンのような受け答えです、ルークさん。

「分かって下さるのね。今日のも美味しいのだけど、いつもより飲んだ時はあれが良いわ……」

「今度からそう言っておけば宜しいんじゃないかな?あ、冷たい水をくれるかな?水を飲むだけで少し気分が良くなりますよ」

メイドに頼んだついでに然り気無く水分補給を勧めてる!

「あら?そうなの?」

「はい。飲み過ぎたと思ったら水を飲むと良いですよ。でも昨日のハイボールは炭酸水で割ってるので余程飲まない限り頭痛とかは無いと思いますよ」

爽やか笑顔でお母様を丸め込みに行った!

「……そう……では私は余程飲んだのですね……」

「「え?……」」

私とルークの声が重なってしまった……まさかのお母様二日酔いでした。そりゃしじみ汁要求しちゃいますね……
メイドをハンドサインで呼び、無限収納から小さいボウルを出して渡した後しじみをザラザラと出す。
きっとお父様とお兄様達も二日酔いになってる……そんな気がしてしょうがない。

「料理長にこれでお味噌汁作る様に言って。お母様も飲みたいから」

さすがに昨日一度アルコールを抜いたルークは二日酔いにはならなかったけど、寝坊はしたのね。

「畏まりました」

そう言って下がって行くメイドの後ろ姿を見送ってからお母様を見たら滅茶苦茶嬉しそうでした。
余程ツラいんですね……二日酔い。
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