上 下
781 / 1,397
連載

新天地を! 198

しおりを挟む
食堂に着けばお母様が既に来ていて紅茶を優雅に飲んでいた。

「おはようエリーゼ。今日は可愛らしい格好ね」

「はい。今日は早々にエルフの集落に行くので……」

「あら?どうしたと言うの?」

歩いて自分の席に着く。腰掛けて軽く息を吐いた積もりが溜息の様になってしまった。

「昨晩アニスからお尻に丸みが増したのでは?と言われて……確認してみたら少々……」

お母様のお顔が少し青くなりました。どして?

「そう……エリーゼもなのね……」

「えっ!お母様も?!」

お母様の場合、ホルモンバランスとか成長期とかじゃないって事で……

「エリーゼのとは違う理由ですが内密に」

ヒエッ!お母様、目がマジです!無言でヘッドバンキングの様に首を縦に振りまくりました。

「少し鍛錬しようかしら……」

鍛錬……お母様の鍛錬って……地獄のブートキャン……いや、エミリ頑張れ!シンシアとソニアも!

「また……今日のエリーゼは私に対してどうも失礼な考えをするわね。でも肉付きが良くなったと侍女に指摘されると傷付くわよね……」

経験者は語る!いや、語って欲しくないです!切実です!
そんなお母様とのやり取りの間にジャンジャン朝ご飯が並べられていきます。
ん?お母様にも?

「お母様もまだでしたのね」

「ええ」

……今日は和風です。料理長の然り気無い思いやりが光ってる。
ご飯に魚の切り身が焼かれた物に卵焼きに葉物野菜のお浸しにキノコのお味噌汁にぬか漬け。
ぬか漬けはダイコンとニンジンか……まさか料理長がぬか漬けに嵌まるとは思いもよらなかったなぁ……一緒に緑茶も出されて嬉しくなる。
お茶の種類が増えて嬉しい。いや、私がどっさり緑茶を出したから和食系の時は出て来る様になったのだけど。

「ふぅ……多めに飲んだ翌日はご飯の方が美味しいと感じるわね……」

お母様がお味噌汁のお椀を持ったままホッとしたように呟く。

「分かります。優しい味だからではないでしょうか?私も落ち着きます」

焼き魚を箸で一口分に分けてパクりと食べる。う~ん……白身の魚だけど銀ダラっぽいなぁ……名前は全然違うけど。

「そうね。一番嬉しいのはエリーゼが言ってた小さい貝のお味噌汁ね、あれは本当に体が楽になるのよね」

お母様、それはしじみ汁と言って前世では二日酔いにはコレ!って言われるような代物です。
やっぱりあの小さい貝はしじみとして認識して良かったんですね。
しおりを挟む
感想 5,613

あなたにおすすめの小説

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら

キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。 しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。 妹は、私から婚約相手を奪い取った。 いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。 流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。 そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。 それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。 彼は、後悔することになるだろう。 そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。 2人は、大丈夫なのかしら。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

初めまして婚約者様

まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」 緊迫する場での明るいのんびりとした声。 その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。 ○○○○○○○○○○ ※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。 目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。