婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 190

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そしてジムと一緒に作り上げたのは彩り鮮やかなベリーのフルーツピザ。
真っ赤なイチゴにラズベリーにブルーベリーにマルベリー。
焼き上がった生地はカットしてからクリームを塗って、フルーツを飾り付けたから後は食べるだけだけど……食べにくい一品になったけどお母様の目は釘付けです。
侍女トリオもやって来てスイーツ系ピザを楽しそうに食してます。
焼き上がった洋ナシのピザとリンゴ(クリームあり)のピザは既にありません。洋ナシのピザは食べましたよ一切れだけ……美味しかったです。

「綺麗ね……」

お母様の呟きがマジです。
……お母様、私もう甘いピザはお腹いっぱいです。しょっぱい系食べたいです……
なので笑顔で差し出しましょう!

「お母様!ベリーのピザですわ!」

エミリがにこやかに受け取り、お母様へと捧げる様に木皿を両手で持って差し出す。
シンシアがお母様の取り皿を受け取り、ソニアが一切れお母様の取り皿へと移す。
流れる様に行われる動作は美しいの一言に尽きる。
勿論、それを優しい目で見てるお母様は女王様の様でした……さすがお母様は女王様然が似合う美魔女ですね。
そんな事を思ってたら後ろでジムが柑橘類のピザを仕上げてました。
……画ずら弱っ!オレンジとかミカンとかグレープフルーツとか日向夏とか晩白柚とか美味しそうだけど、色目のせいかインパクトが弱い!残念!でもサッパリしてそう……

「エリーゼ……」

ルークがフラフラしながら寄ってきました。

「酔ってるよね……大丈夫?」

「んー……なぁ、この大きいの何だ?」

酔っ払いなルークが指したのは晩白柚でした。
あー……まあ、あんまりメジャーな果物じゃないものね。

「晩白柚……バンペイユって言う柑橘類。知り合い……前世で知り合いのオバチャンが作ってて、良く買って食べてたの。美味しいわよ」

少しだけ前世の人懐っこい笑顔のオバチャンがふるさとの味だって言ってた事を思い出す。
剥かれた薄い黄色い実を摘まんでルークの口元に持って行けばパクリと食べるルークが雛鳥みたいに可愛くてクスリと笑ってしまう。
咀嚼しながら目尻が下がって嬉しそうな笑顔になる様を見て、イケメンはズルいなぁ……と小さな溜息をついてしまう。

「本当だ。美味しいよ」

「食べ応えもあるし良いわよね」

「ああ……」

そう言って晩白柚を摘まみ出したルークの手をガシリと止める。
いくら画ずら弱くてもお母様から追加オーダー入ったら使うのよ!
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