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新天地を! 167

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甘かった焼きリンゴの後味が何だか消えました。
うちの領は安泰だけど、他所の領はそうじゃないのかも……
心配するなとか言われても一応王国民として行きてきた以上やっぱり気にする訳で……

「心配するなと言っても無理だよな……だが動くなら父上あたりが動くだろうし、キャロライン姉上の事は本当に気にするな。姉上は今でも姉上だ。いくら王国に嫁いだとしても皇室からすれば除籍もしてない。言わばいまだ皇女としての地位を保持したまま王国へ行き、第二王子の正妃となっているだけの事だ」

ちょっ!待って!……じゃあキャロライン妃は正しく皇女として王宮に居るって事?

「じゃ……じゃあキャロライン妃が帝国に救援を求めたら帝国は……」

「間違いなく帝国は動く。皇女を助けぬ皇室ではない」

ゾクリと背筋に冷たいモノが走る。
じゃあルークは皇子のまま存在し続ける?

「エリーゼ。俺も同じだ。エリーゼと結婚したとしても俺は皇室から除籍されないだろう。除籍されるのは同じ帝国内に輿入れなり婿入りなりした者だけだ。信頼の差だ……だが、ひょっとしたら俺は除籍されるかも知れないとも思ってる。義理母であるフェリシア様だ……シルヴァニア家令嬢への信頼は普通の帝国貴族のそれとは全く違う」

何か……何かどエライ事聞かされてる気がする……

「良く聞いて欲しい。俺の予想ではフェリシア様は皇帝陛下とも面識なりやり取りなりあるんじゃないかと思ってる。上下関係で言えば帝国宰相であるアーネスト殿よりも発言権が上なんじゃないかとも……」

「まさか……」

だって帝国宰相のアーネスト様ってお母様のお父様で……

「シルヴァニア家は女性上位だ。男性は宰相へとなるが、シルヴァニア領で男性を操ってるのがシルヴァニア本家の大婆様と呼ばれる女性らしい……一度だけ兄上にこの世で本当に逆らってはならない方だと聞いた」

えー……どんだけよ!

「ちなみに、その大婆様はとんでもなく長生きしてる老女らしい。俺のイメージじゃまごう事なき魔女……しかも老女って言う……」

「ちょっとそれは……言ったらダメなやつだと思う。大体、お母様のお母様かお祖母さまにあたる方ならそんな感じじゃないと思うわよ……じきに五十になろうというお母様がアレなのよ……」

考え込むルークが発したのは……

「恐るべき美魔女だしな……若見えパナイ老美魔女かも知れん……」

「うん……」

会った事無いけど、あのお母様を見たら汚い老女と言うのは無理がある。
……老けにくいのかな……お母様の家系……
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