婚約破棄されまして(笑)

連載

新天地を！ 166

ふと思い出した前世の暮らし。
考えてみれば今も世のお母さん達はあまり変わらない。いや、前世のお母さん達の方が苦労してる。……気がする。
他の領地はさて置き、うちの領ではとにかく出産育児に手厚い。でないとあっという間に人口減少の憂き目に遭うから。
幼稚園とか保育園は無いけどご近所で仲良く子供達を見てるし、生活補助もわんさか入ってる。
働き盛りの男性は少ないけど、その分元気な年寄りがフォローしてる。勿論、お給料は発生してる。
国家事業の如く領主が支払ってるのだ。
仕事は農業を中心に発展してるし、それに関わる仕事も多い。
空気がキレイだから、子供の小さいお家は黄桃のカットと日干しをお願いしてるしね……
ちょっと待て……ここの栽培がちゃんと出来上がれば砂糖工場とか作らなきゃダメじゃない？
魔法を使わなくても出来る方法とかも教えないとダメだよね……基本的にはサトウキビと同じような仕組みで良い訳だしね……
うん！トールお兄様にお任せしよう！工場の事は！
まだ土地はある訳だし！必要なら手伝えば良いし！
果物の加工工場も将来必要になるよね！お母様に渡した白桃のシロップ漬けの手応えを見れば確信できる！
スイーツの女王様なお母様は必ずや大プッシュして菓子工場設立を望む筈！
うん、飴とかお煎餅とかクッキーとか日持ちのしそうな物は工場で作って販売すれば良いと思うのよ！
……人……足りるかしら？足りないかも。
いや、まだまだ王都から人が来てるようだから問題ない筈よ。
てか王都……大丈夫なのかしら？流出が止まらないのも問題だけど死亡者も増えてるなら王室の経営もどエライ事になるんじゃないの？

「難しい顔してどうした？」

「えっ？あ……ああ……ちょっとだけ王都の事考えてた……」

「……もう関係無くなったんだ。考えるな」

え？だってルーク……

「キャロライン妃の事……」

「姉上なら心配する必要は無い。姉上には帝国から侍女達が付けられてる。その中にシルヴァニアの者が紛れてると父上から聞いてる」

「紛れてるとって……」

「一緒だよ。何かあればあの小さいハーピーが飛ぶ。それだけだ……俺よりも遥かに多くやり取りしてる筈だ」

え？何？コッワ！王宮の情報ダダ漏れやん。

「今頃、王宮の事情は父上に筒抜けになって何らかの手が打たれてるだろうな。だからエリーゼは心配するな」

「ええ……」

帝国って……いや、お母様を見たら想像つくわ。
先手先手を打つ為に情報重視してるもの……特に恨みとか無いけど王室の先が心配……