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新天地を! 148

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「ななな……何?なんで?」

「危ないよ……」

ルークの腕の中に閉じ込められてドキドキしてる……違う。ドキドキしてるのはルークも……
このドキドキは私だけじゃない。
ルークの胸に耳を寄せる。
ドッドッドッ……早い音……ルークもドキドキしてる。私のドキドキ、分かるかしら?ねぇ……

「エリーゼ……会いたかった」

「うん……私も」

ルークの汗の匂い……嫌いじゃない。安心する匂い。

「ケーキ、美味しかったよ。思い出すな……これもジムか?」

「うん。凄いよね……和洋菓子バンバン作っちゃって……」

うん、本当に凄い。細かい作り方を教えた訳でも無いのに、試行錯誤を繰り返してどんどん良い物へと進化させてく。

「エリーゼ、食べさせて」

「うん……」

少しだけ身動ぎしてルークからケーキのお皿を受け取り、また一口分切り取り差し出す。
ルークがあんまり美味しそうに食べるから、私も一口分切り取ってパクリと食べる。

「美味しっ」

さっきまでは普通に美味しいとしか感じなかったのに、今は凄く美味しく感じる。
ギュと腰に回された腕が強く抱き寄せて来て、踵が少し浮いて来る……上半身は何とか離れてるけど、下半身がこれでもかって位くっ付いちゃう……
落ち着かなくて何とか下半身を動かして、ドキリとする。
な……んか当たって……コレって……

「動かないで……」

「あ……」

ハム……と耳を柔らかく食まれ艶っぽい声で動きを封じられる。
どうしよう……皆がいるのに……何で、私もルークにも立場があるんだろう……お互い平民か下位貴族ならこのままベッドに直行して思う様求め合えるのに。

「ダメ……」

「分かってる……」

これ以上は許されない。私もルークも遊びなんかじゃない。
どんなにこの炙られるような熱に焦らされても、激情のまま体を重ねる訳にはいかない。

「アニス、そこまでになさい」

冷静なエミリの声が少し離れた場所から聞こえる。
……アニス……なんかしちゃったの?

「あー……」

ルークの腕がヒョイと私の体を引っくり返して、後ろから抱き締めて……って、アニスが篝火の届かない場所でキースに馬乗りになってました!
いや、私達は前庭でも端っこにいた訳だけど……まさかその端っこから更に外れた場所でキースを押し倒してマウンティングしてるアニスを見るとは思ってませんでした。
……ちょっぴり嬉しそうに上気してるキースと興奮してるアニスはナイスカップルだと思ったのは内緒です。
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