婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 113

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作り方もうろ覚えですが、それでも何とか形にしてくれるジムさすがです!
数回のチャレンジでちゃんとしたフワフワのスポンジケーキが出来ました!

「お嬢、これは……その……」

「ジム!生クリームを泡立て器でツノを立てて!」

雑な説明でもやってくれます。王都にいた頃に色々やって来た甲斐があります。
すぐさま生クリームに取りかかるジムを横目にジムの側でジムの手つきを凝視してる若い料理人を手招きする。

「ボウルを持って来て」

「はい」

サッと持って来てくれたボウルに収納からコロコロとツヤツヤイチゴを手元から出す。
あー……ツヤツヤのピカピカのイチゴ美味しそう!

「じゃあ、軽く洗ってヘタをナイフで切り取っちゃってね」

「はい」

既に我が家ではイチゴは珍しいフルーツではない。何故なら私がイチゴ好きで良く出すからです。
そのまま食べるか、イチゴ大福が鉄板でしたが今日からは甘くて可愛いイチゴショートケーキも加わるのです!

「お嬢、出来やしたぜ」

「じゃあ、さっきのスポンジケーキに生クリームを塗っていくわよ~」

「……イチゴを飾るんですかい?」

「上に乗せるのはね。薄めに切った物も使うわよ」

「……スポンジケーキを二段とか三段にするって事ですかい?」

「正解!で上にヘタだけ切り取ったイチゴを飾るのよ」

「……なる程……おい!イチゴ半分は薄めに切ってけ!」

「はいっ!」

あ……何か気合い入った……

「お嬢!コイツの事は任せて下さい!」

「え……ええ、任せるわ。お茶の時間には間に合いそうかしら?」

「勿論間に合わせてみせやすぜ」

ニヤッと笑ったジムは何処からどう見ても料理人というよりテキ屋のオニイチャンです。
でも、スイーツに関しては私よりも上手だしセンスもありそうなので何も言いません。

「……この段階でも美味しそうです……」

アニスの呟きにウンウンと頷くいつの間にか出来上がっていた料理人達の壁……じゃなくて人垣。
もう、釘付けですよ。新しい甘味に(笑)

「アニス、サロンでゆっくり待ちましょう。ジム、楽しみにしてるわ」

そして無限収納からメイドイン・チビナビちゃんの絞り口をコトリと置く。
星形の。
丸形は既にあるけど、星形は初めましてなのだ。
キラリと目を輝かせたジムは嬉しそうに絞り袋を取りに行きました。
こうして私とアニスは厨房を後にし、サロンで午後のティータイム待ちをしようと移動を始めました。
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