上 下
687 / 1,397
連載

新天地を! 104

しおりを挟む
エントランスでアニスと別れ、一人自室へと戻る。
やたらと広い貴族の家はありていに言えば学校サイズ、下駄箱から教室までが言わばエントランスから自室までだと思えば体力無いとやっていけないと想像出来ると思う。
しかも普通の貴族女性は重たいドレスにヒールのある靴で移動し、夜会があればダンスとか踊った後自力で戻る。
余程でなければ太る事なんて無理。
自室に辿り着き、ソファにボスン!と音を立てて深く座り込み背もたれに体を預ける。
お家に見合う洋風のシャレたスーパー銭湯も良かったけど、温泉郷の和風に寄った造りの方がテンション上がるかも?と思って作り上げた。
後悔はしてない。

「お待たせ致しました」

ワゴンではなくトレイに幾つもの軽食を乗せてメイドがアニスの後ろに着いてきていた。
アニスが紅茶の準備に入る間に次々とトレイの上からテーブルに載せられていく。
サンドイッチとオープンサンド、スコーンにクッキーに卵焼き……いや、どういうチョイスなの?

「エリーゼ様、ジムさんがだし巻きを上手に出来たので持って行けと……」

「そう……」

カチャリと紅茶が置かれ、体を起こし姿勢を正す。
一口紅茶を飲めば気分も変わる。
普通のサンドイッチも良いけど、オープンサンドを先に頂こうかな?
手に取ってハム……と齧る。
鹿肉の焼いたのとオニオンスライスにピリッとしたのは辛子か……これでレタスあったらオシャレなオープンサンドだったかも。
美味し……んー……開拓地で狩りまくった鹿系魔物か。思ったよりも味が良い
牙猪も美味しかった……魔物の方が美味しいのはシャレにならない雑食性だからだろうか?獣も魚も肉食とか雑食だと美味しい気がする。
サンドイッチはタマゴサンド。
優しい味のタマゴサンドがしっかりしたパンに挟まれてる。
紅茶をゴクゴク飲む。ヤバイヤバイ、パンって口の中パサるわよね!
何だかんだで持って来てくれたサンドイッチとオープンサンドはペロリと平らげました。
スコーンはジャムつけてモグモグしましたよ。クッキーはちょっと無理。

「ご馳走様。もう少し休んだら湯浴みするわ」

「はい」

アニスの返事を聞いて、再びソファに深く座り背もたれに体を預ける。
もう少し暖かくなったら開拓地の畑に種が蒔かれ果樹も葉を繁らすだろう。
王都から来た人達は苦労するだろう。でも、飢えと寒さで死ぬ事なんてさせない。
しおりを挟む
感想 5,613

あなたにおすすめの小説

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら

キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。 しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。 妹は、私から婚約相手を奪い取った。 いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。 流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。 そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。 それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。 彼は、後悔することになるだろう。 そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。 2人は、大丈夫なのかしら。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

初めまして婚約者様

まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」 緊迫する場での明るいのんびりとした声。 その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。 ○○○○○○○○○○ ※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。 目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。