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新しい日々 31

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「エリーゼ、キースを抱いた俺の事を軽蔑するか?」

何言ってるのかしら?

「なぜ?」

少し早い鼓動を聞いて緊張してるのかな?って思う。

「浮気みたいに思われたらどうしようかと思って」

「バカね、ずっと側近を持つように言っておいて性交渉があった位で嫌ったりなんてしないわ。キースはかなりの実力があると思うわ、有能でずっと側に置いておくには良い人だと思う」

ホッと息が吐き出された。ルークは優しいのね。

「あれ程の有能な人、体一つで使えるなら安いものだわ……」

本音を口に出す。

「エ……リーゼ?」

ギュッとルークの胸を掴んで顔を見ないようにする。私のズルい所、お母様の教育の賜物……

「ルーク、このシビアな世界で自分を優位に立たせ高みを目指すなら有能な人物は一人でも多く手元に置くべきだと分かってるでしょう?その最たるのが側近であり専属侍女よ。私達を裏切らないように一枚でも有利なカードは持っておくべき、それが私達支配層の宿命。最後の最後、私達を守る砦が側近や専属侍女。最も繋ぎ止めるのに有効な手段は肉体関係で持って身も心も縛り付ける事……でも私達にだって心がある。情も……きっと本当にどうにもならなくなった時は辛いと思う、でも私達は生きなければならない。そして彼等彼女等は理解している。まるで刹那のよう……だからね、浮気だ何だなんて思わない、キースはルークを守る最後の砦でもあるから。その為の関係なら私は何とも思わない」

ただ立場だけで仕える者を信じない訳じゃない。
カードは何枚あったって良い。
打算有りだって分かっていても構わないと思わせなければ私達はただの愚かな支配者でしかない。
そう教えられた。より強い絆こそが優位に立てるとも教えられた。
私は既にアニスを側に侍らせ、支配する者とされる者という関係を築き上げた専属護衛騎士団がいる。
支配者として君臨し、崇拝される。歪であるが、それ故に彼等は裏切らないだろう……そうお墨付きを貰った。
でもルークにはカードが少ない。一番のカードである側近が出来た後は四番隊というカードがどれ程有効になるのか分からない。
ただ私達にはテイムした仲間がいる。
おそらく魔力の関係でルークは次の仲間を手に入れるには時間が掛かると思われる。
それでもノエルとルチル、クワイも有能だしルークは強くなると思う。

「エリーゼ」

耳元で囁かれビクリと体が竦む。

「ダメ……そんなの……」

感じちゃうから……ダメなのにもっと一緒にいたくなっちゃうから……
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