婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新しい年 32

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「固い話はそこまでだ。たとえ国が二分されたとしても戦をする気にはならんよ。戦力差もだが、人死にが出ても良い事は無いからな。そんな事は俺の仕事だ、ほら難しい顔をするもんじゃない。少し甘い物でも食べて、違う話でもしようか。ノエルとルチルも待ってるよ」

お父様が話題を切り替えて来た。何か掴んでるけど話したくないって事かしら?
でも……そうね、きっと王都は私が思うよりも悪い状況なのかも……

「では紅茶を淹れますね。アニス手伝ってくれるかな?そうだな、お茶請けは何が良いかな?」

「紅茶は父さまが淹れて下さい。お茶請けですか……」

チラッとアニスが私を見ました。
目が合ったらニコッと笑われました。
さっきのパープルスイートポテトパイか?あれを出せと?
勿論良いとも!

「アニス」

「はい!」

大きめのお皿持ってやって来ました。
お皿の上に紫芋のパイをこんもり出す。だって食べますから。

「ありがとうございます!」

そう言ってドン!と音がしそうな感じでお皿をローテーブルに置きましたよ。
ノエルとルチルの目がキラキラしてるけど、ルチル……辛くは無いよ。甘いだけだよ。

「沖縄銘菓……」

「言わない。分かるけど」

私もルークもお父様もソファへと移動する。
お父様がノエルとルチルの近くに座ったけど、抵抗感が無いという事は以前からすわってたという事よね。
ルークもノエルとルチルの近く……いえ、ノエルとルチルを真ん中にお父様とルークが座ってる訳で……

「ご主人……ボクあついにゃ……ぬぎたいにゃ……」

涙目でキュッとルークの服を掴んで上目遣いで訴えるノエルの女子力の高さよ!
先生!そう叫びたい!あざと可愛いとはこの事かっ!
ルークがメロメロだわ。

「待ってくれ……心の……頭の中に刻み込むから」

「んにゃ?」

ウルウル目のまま、コテンと首を傾げた!見つめ合うルークとノエル!
何なの、その恋愛ドラマに出そうなシーン!お父様も釘付けよ!

「ダメ……にゃ?」

どんだけ小悪魔なの!ノエルったら!やられてるルーク!
良ーし!私も真似してやる!
ノエル先生の仕草をジックリ見ておかないと!

「ご主人……も……ツラいにゃ……」

クッ!ルークが脱がさないなら私が脱がす!

「悪かった!あんまり可愛くて見ていたかったけど、そうだなツラいよな」

そう言ってノエルとルチルのモコモコケープを脱がしました。
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