婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新しい年 26

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「何でもありませんわ!」

ちょっと溶け始めたバニラアイスに慌てて食べ始める。

「ん~……!パンケーキにバニラアイスだけでも正義なのに黒蜜が!」

クギュウ!

「ハッ!誰だ!俺の「違いますから!お父様のお腹の音よ!」……知ってる」

「久しぶりだわ、ソレ」

「お待たせ致しました」

私の言葉が途切れたと同時にお父様とルークの目の前にも出された。
ってお父様が黒蜜ドバドバ掛けてる!黒っ!黒いですよお父様!
ほら、ルークがウヘァって顔してる!
うわぁ……黒蜜の海にパンケーキの島やぁ!ってバカァ!
あー……パンケーキがズブズブになってきてる……

「あら?エリーゼはもう…………ハインリッヒ?」

ご機嫌で食堂に来たお母様が……目はお父様のパンケーキのお皿に釘付けになったまま冷たい笑顔に!
般若!般若がお母様のスタンドなのですか?!怖いです!

「夫「お黙りになって!」……はい」

ルーク哀れ!今の激おこ状態のお母様に話し掛けるなんて勇者以外無理です。
私?私は黙々と食べるだけです。バニラアイス溶けちゃうんで!

「あら?ハインリッヒは仕方ないわねぇ。フェリシア、私達も頂きましょう?」

お祖母さまもいた!そして助け船出した!凄い!

「そうですね、せっかく楽しみにしてたんですもの……ハインリッヒ少し夜にでも話し合いましょうか?」

「はい……」

よし!今ならツッコめる!

「お父様、バニラアイス溶けちゃうんで早く食べて下さい」

ルークは無言で食べてるわよ。
そしてお父様よ、夜ガンバレ!

「私とお義母様にも同じ物を」

お母様が席に向かいながら注文する。
食堂内、一瞬極寒地になったけど何とか元通りです。
あっぶなー!
それにしてもお祖母さま、さすがとしか!
亀の甲より年の功とはこの事!お父様良かった……ん?お父様の顔がシビシビしてる……

「おぉぉ~~!」

何か悶えながら雄叫び上げた?え?ちょっとヤダ……口の端から黒蜜垂れてる……
ま、あれだけ黒蜜掛けたらねぇ……

「きちんとお食べになって下さい。子供達の前ですよ」

お母様ったら、オカンモードですね。
ここでウッカリ突っ込むと百倍返しされますから!何も言いません!
お父様、ナプキンとお茶で何とかしのいだ!

「エリーゼ、これをどうにかする事は出来ないものだろうか?」

泣きそうな顔で言わないで下さい、無理ですから。

「ありません。あえて言うならパンケーキの枚数を増やす事位です」

「そうなのか……」

お父様、涙目!
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