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新しい年 22

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「何……だと……お嬢……そいつぁ……」

目を見開き型を凝視するジム。
そんなジムを見て心の中ほくそ笑む。

「でね、黒蜜という物を作って貰いたいのよ……」

コソコソと囁く。
コクリと頷くジムの目は爛々としている。

「今日のお昼、余り食べられないからパンケーキをよろしくね!そのパンケーキにかけたいから、ちゃんと作ってね!」

バッと私を凝視しちゃうジム(笑)

「お母様とお祖母さまも喜んでくれると思うの。だから……ね」

♡は付けません。
ウッカリ付けたのがルークにバレると面倒そうなんで。
ちょっと外野がザワついた気がしたけど、女性がそんなすぐにお腹空くわけないでしょ。

「じゃあ、よろしくね~!」

「お任せ下さいっす!」

嬉々としながら黒砂糖の壺を手にしたのを見届けて厨房から脱出する。

「あ!」

アニスの声で散漫になってた意識が一気に引き戻される。
前から歩いて来る一団。
執事と四人の若い男……そうか、あれが側近候補者達か……
全員それなりに背が高い。一人はルークより高い。
全員イケメンと言って良いレベル。
執事が脇に退き頭を下げる。
それに倣い四人共が同じ様に脇に退き頭を下げる。
その姿勢は揺らぐ事無く、正しく美しい。

「見事な物ね、どなたが選ばれてもおかしくないわね」

一言声を掛けて通り過ぎる。
よし!部屋に戻ったらアニスに聞かなくっちゃ!

「アニス?」

視線が一点集中してました。
一番背の高いワンレンの彼でした。

「申し訳ありません!」

「仕方ない子ね……」

何とか誤魔化して歩き出す。
さあさあ!ほら、早く部屋に戻らないと!
ちょっとだけ頬を染めて前を歩くアニスをニヤニヤしないよう気を付けて歩く。
可愛いな~あんな顔しちゃうのか~。
会話なんて出来ませんって!だって歩きながらなんてハシタナイでしょ。
だからね、二人してまた早足ですよ。
部屋に入った途端、二人揃って大きく息吐きました(笑)

「緊張したぁ~!」

「でもアニスが好きになった人、すぐに分かったわ」

「う~……だってぇ……」

肩で切り揃えた青紫色のワンレン。
高身長なのに紺色の切れ長の目は甘さがない。
おおよそ側近候補になるには硬質な雰囲気だが僅かに漏れる色気は……アレに当てられたのかな?……アレクもあんな感じがしないでもないからな……
いや、まさかなぁ……でも一番の手練れは彼か……その隣にいたユルフワ金髪ロングか……
それにしてもタイプがあんまり被ってない所がなー……
ルーク……誰を選ぶのかしら?
ちょっと楽しみね(笑)
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