婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新しい年 21

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「……ありがとうエリーゼ。では私は部屋に戻るわね」

「はい。では、後ほど食堂で」

「ええ……」

「私も一緒に下がるわね。後でねエリーゼ」

「はい、お祖母さま」

侍女トリオとオリーさんが二瓶ずつ持って、お母様とお祖母さまが一瓶ずつ持って行きました。
ちょっと重いですもんね……ウソです。多分、一番の非力はお祖母さまだと思いますがお母様は二瓶平気で持てると思います!

「行ってしまわれましたね」

「そうね。それよりも私、厨房に行かなくちゃ!」

「ついて行きます!」

「じゃあ、行きましょう!」

黒砂糖を加工しにレッツゴー!ですのよ!
早足でちゃっちゃか目指します。無駄口も叩いてる暇が無いです!まずは黒砂糖で羊羹です!その次に黒蜜です!
夢は膨らむとはこの事!
黒蜜で食べるパンケーキ!バニラアイスをトッピング!サイコーです!
よし!厨房に着いた!

「ジムはいる!?」

「ジム!エリーゼ様だ!」

「お嬢!どうしたんですかい?」

奥から飛び出して来たジムからは何やら甘い香り。
どうやら立派な菓子職人になってきたようだ……

「実は今まで砂糖と言えば白い……白砂糖しか出してなかったのだけど、何と黒い砂糖もありました!なのでその黒い砂糖で色々作ろうと思うのです!」

「はっ?……はいっ!」

良い返事です。
後ろで「黒い砂糖……?」とかアニスが呟いてますが、構ってられません。
なぜなら厨房の中、それなりに動いているからです。
言わばお昼ご飯の用意をしてる最中なのです。

「じゃあ、お邪魔するわよ」

「では、こちらに……」

動きの少ないエリアを通って数人の料理人達の所へ案内される。
火にかけられている鍋は小豆が煮られている。
各々が焼き菓子の下拵えをしてたり果物をカットしてる。
ここにいる料理人達は甘味担当になってるに違いない。

ドサリと黒砂糖五キロ入りの壺を出す。

「失礼しやす」

迷う事なく壺に指先を入れ黒砂糖を僅かに摘まみ出す。

「黒っつーより茶色っすね。ふむ……」

摘まんだ黒砂糖を口の中に落とす。
その顔ほ真剣そのものだ。

「ちぃとクセがありますが良いですね。白いのとは違う風味っすね」

そして私は伝える。
四角い型を出して……羊羹という甘味を。
ついでに寒天を混ぜた水羊羹という物も。
更に栗の甘露煮を混ぜた栗羊羹も美味しいのだと囁く。
ククク……これで羊羹が暫く出るに違いない。
バタークッキーの時も暫く続いたからな……
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