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元日! 57
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通路をどんどん進む。
この間もいつもなら他愛ない会話とかするのに、アニスは無言でやっぱり変。
食堂に辿り着いてボンヤリとある一点を見つめてる。
「アニスどうしたの?心ここに在らずね」
ハッ!としたように私を見て視線を彷徨わせる。
「エリーゼ様……私……」
ん?ちょっぴり頬が染まってる?
「私っ!好きな殿方が出来ましたっ!」
「えっ、良かったじゃない。どこの誰なの?今日来てたお客様?」
カクンとあからさまに力を落とし、力無く溜息を吐き出したアニス。
え~何でそんなにガッカリ!
「実は……ルーク様の側近候補者が来たんです。ですけど、その中のお一人にどうしても目が行っちゃって……」
側近候補……まさか、その中にアニス意中の人がいたとは。
「ちょっと待って!じゃあ、その……」
抱かれる前提で体仕上げた男に惚れたって事!?
まさか、そうなの?
「分かってます。でも大丈夫です、私……そういった方を満足させれるだけの術は持ってるつもりです!」
あ……うん、アニスのお父さん現役の側近だもんね。
心配ご無用な心配だったわ。
「そうなのね。その……側近に選ばれると良い?わよね」
コクンと頷くアニスは可愛い。
「はい。例え選ばれなくても側に置いて下されば良いなって……」
「あー……」
側近じゃなくても側に置いて使いたいってルークが言えば執事見習いとかになるんだっけ?
ずっとここに住むとは思えないし、たとえここに住むにしても仕事の多さを考えれば側近だけじゃ無理っぽいしね……
「そうねぇ……そこはルーク任せだし、考えてもどうしようもないわ。もし側近に選ばれなかったら、その時はその時よ」
今からどうこうしても無駄な気がするもの。
「とにかくアニスもお腹空いてるでしょ、向こうで何か食べてらっしゃい」
「はい」
元気ないなー……でも、今までこんな事無かったけどこんな風になっちゃうのか……
「はふ……恋すると変わるって言うけど、アニスったらあんな風になっちゃうのね」
お母様はまだ来ないし、何か頼んでおこうかしら?
チラッと壁際に佇むメイドに視線を送る。
「ご用でしょうか?」
「天ぷらうどんが食べたいわ。エビ天三本は乗せてね!」
「畏まりました、天ぷらうどんでエビ天は三本ですね」
ただ食べたい物を言うだけで作って貰える。
こんな時は令嬢って良いよねって思ってしまう。
尤もそれだって、材料が揃ってるからなんだけどね。
厨房に伝えに行ったメイドの後ろ姿をボンヤリと見おくりながらそんな事を思っていた。
この間もいつもなら他愛ない会話とかするのに、アニスは無言でやっぱり変。
食堂に辿り着いてボンヤリとある一点を見つめてる。
「アニスどうしたの?心ここに在らずね」
ハッ!としたように私を見て視線を彷徨わせる。
「エリーゼ様……私……」
ん?ちょっぴり頬が染まってる?
「私っ!好きな殿方が出来ましたっ!」
「えっ、良かったじゃない。どこの誰なの?今日来てたお客様?」
カクンとあからさまに力を落とし、力無く溜息を吐き出したアニス。
え~何でそんなにガッカリ!
「実は……ルーク様の側近候補者が来たんです。ですけど、その中のお一人にどうしても目が行っちゃって……」
側近候補……まさか、その中にアニス意中の人がいたとは。
「ちょっと待って!じゃあ、その……」
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まさか、そうなの?
「分かってます。でも大丈夫です、私……そういった方を満足させれるだけの術は持ってるつもりです!」
あ……うん、アニスのお父さん現役の側近だもんね。
心配ご無用な心配だったわ。
「そうなのね。その……側近に選ばれると良い?わよね」
コクンと頷くアニスは可愛い。
「はい。例え選ばれなくても側に置いて下されば良いなって……」
「あー……」
側近じゃなくても側に置いて使いたいってルークが言えば執事見習いとかになるんだっけ?
ずっとここに住むとは思えないし、たとえここに住むにしても仕事の多さを考えれば側近だけじゃ無理っぽいしね……
「そうねぇ……そこはルーク任せだし、考えてもどうしようもないわ。もし側近に選ばれなかったら、その時はその時よ」
今からどうこうしても無駄な気がするもの。
「とにかくアニスもお腹空いてるでしょ、向こうで何か食べてらっしゃい」
「はい」
元気ないなー……でも、今までこんな事無かったけどこんな風になっちゃうのか……
「はふ……恋すると変わるって言うけど、アニスったらあんな風になっちゃうのね」
お母様はまだ来ないし、何か頼んでおこうかしら?
チラッと壁際に佇むメイドに視線を送る。
「ご用でしょうか?」
「天ぷらうどんが食べたいわ。エビ天三本は乗せてね!」
「畏まりました、天ぷらうどんでエビ天は三本ですね」
ただ食べたい物を言うだけで作って貰える。
こんな時は令嬢って良いよねって思ってしまう。
尤もそれだって、材料が揃ってるからなんだけどね。
厨房に伝えに行ったメイドの後ろ姿をボンヤリと見おくりながらそんな事を思っていた。
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