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元日! 31

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「エリーゼ。婚約者と仲が良いのは良い事よ。でもそろそろお部屋に移らない?」

お母様がさり気なく言ってきました。
これは各自部屋で親交を深めましょう?という事かしら。

「そうですね。ルーク、部屋まで送って下さる?」

「勿論。アニスが来たら一緒に部屋へ送ろう」

ルークのお顔がいつものイケメンスマイルになりました。

「ええ」

のんびり待ってると執事長がやって来て、アニスがサロンの前に来た事を教えてくれる。
ルークが先に立って手を差し伸べ、私のエスコートをしてくれる。
このまま部屋で過ごした後、夜の支度に入る。
お昼ご飯は食べれない。
それは私だけじゃなくて、家族全員食べれない。
それはルークも同じ。家族同然だから。
立ち上がり、ふと見回して伝えなければならない事を思い出す。

「お祖母さま、お母様。今着ているお着物、是非ともお持ち下さい。私にはまだそちらのお着物を着こなす自信がありませんもの」

お父様の膝の上から動く事なく微笑むお母様。

「嬉しいわ。こんなに素晴らしい着物は初めてですもの。それが娘からの贈り物となれば喜びもひとしおよ。ね、お義母様」

「ええ。初めて着たのだけど良いものね。ありがとうエリーゼ」

お祖父さまの腕の中、微笑むお祖母さまはとっても可愛くてお人形のようだ。

「いえ。お祖母さまも良く似合っていて私も嬉しいです」

彫りの深い顔立ち、シルバーグレイの髪に漆塗りの簪や櫛。
お祖父さまが離そうとしないのも納得です。

「ではお先失礼しますわ。さ、皆。お部屋に戻りますよ」

カワイコちゃん達が口々に同意を述べやって来る。

「では失礼致します」

ルークはそう言うとゆっくりと歩き出す。
……お着物の時は歩く速度とか変わるのを知ってる人のエスコートだ、コレ。
前世でお着物を着た女性をエスコートした事あるんだ。
お着物の時は膝から下で歩く感じになるから歩幅も小さくなるし、ゆっくりになるのは仕方ないのだけど歩行スピード上げれない訳じゃないのよ。
足運びの速度を上げれば良いだけだもの。
でも、そんなパタパタ歩く必要もないしゆっくり行きます。

「エリーゼ様」

サロンを出てアニスが寄って来る。

「今からルークと一緒に部屋でゆっくり過ごしましょう」

「はいっ!」

ゾロゾロとカワイコちゃん達を引き連れて部屋に戻る。
長い廊下も大きくて豪奢な階段も話ながらだと苦に思わない。
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