婚約破棄されまして(笑)

連載

元日！ 14

慌てても顔には出さない！
バタバタ歩かない！
あくまでも笑顔で！足音は立てない！
長い廊下を歩き、階段を降りる。
広いエントランスには黒い着物を着て黒い羽織を羽織って黒いフンワリとしたマフラーを巻いたルークが、白い羽織袴風のノエルと黒い紋付き袴風のルチルがいます！
ノエルとルチルが手……前足を繋いでいて可愛いです！
何であの二匹はあんなに可愛らしいのかしら？おかしいわね、私の所にいるタマとトラジがピカ太郎と一緒にいてもあんなに可愛くないのよね……

「ルーク！」

階段を降りきって近くに歩いて行く。
どうしよう！ルークが格好良すぎてクラクラします！
顔立ちとか赤い髪とか明らかに西洋人の顔立ちなのに、滅茶苦茶格好いいです！
普段の洋装だとそれ程感じないのに、和装だと溢れる色気ってどういう事なのよ！

「エリーゼ。凄いな……何か、色気が凄い。これで惑わされない男がいたら、そいつは頭がおかしいか趣味があっちかのどちらかだな」

「もう……！色気が凄いのはルークよ！こんなにドキドキさせてどうするの！」

無言でルークが私の手からショールを取るとフワリと肩に掛けてくれる。

「朝、いきなり夫人の侍女がやって来て着物を着せられて驚いたんだけど？」

「どうせだし、初詣に行きたいなって思って」

ルークの隣に立って、手を握る。
決して柔らかくない、寧ろ何処かゴツゴツした手はお兄様達と似ている。
普段から剣を振るってる手。
見上げたルークの顔は少し照れてるようで頬が染まってる。

「初詣って……神社やお寺なんて無いだろ？」

最もですね、でもね……

「林の中にね、朱いお社があるのよ。別にお稲荷さんを奉ってる訳じゃないんだけどね。でも初詣気分にはなるかな？って嫌だった？」

ちょっとだけ驚いた顔したけど、クスリと笑って繋いだ手がキュと少しだけ力が込められた。

「良いね！一緒に初詣な行こう。案内してくれる？」

「勿論よ。皆一緒で嬉しい」

ルークより少しだけ前に出て歩き出す。
ドアボーイがサッと扉を開いてくれる。
自動ドアじゃないのだ！
まだ朝早い時間帯（貴族てしては早朝）なので静かなもんです。
でも空気が痛い！寒い証拠です。
素肌が露出してる部分は顔と手位ですが、それでも寒さで痛みを感じる。
そして、思ったよりもショールが良い仕事してます！