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大晦日 37

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「ご主人ヒドイにゃっ!もっとかまってにゃっ!」

ノエルが爆発しました。
どうやらルークはお祖父さまと喋る事に夢中になって、ノエルを脇に押しのけていたようです。

「む?ルーク、そのちんまいのが一生懸命訴えておるぞ。きちんと構わんか」

お祖父さまがルークに注意しました。
意外です。お祖父さまの事だから笑ってスルーするかと思ったら、ルークに構えと言いましたよ。
……そういや、お祖父さまって見た目のゴツさに反して面倒見が良かったのよね。
お兄様達もお祖父さまに懐いてた気がするし。
私も色々我が儘言っても許されてた気がする。
……てか私、本当に甘やかそれてたし色々許されてた!

「エリーゼ。眠いなら部屋に送るよ」

「別に眠たい訳じゃないの。幼い頃の事を思い出してただけなの」

「そうか」

キャスバルお兄様は細かい気配りの出来る男ですな!
いや、トールお兄様も出来るけど!
お父様もだけど、脳筋ぽいけど実は気配りも出来るし仕事も出来るんだよね。
シュバルツバルトの男って。
元々は一国の主だったし、基本的な思想とかがやっぱり違うのかな?

「今日は珍しくゆっくりしてるな。何かあるのかい?」

つむじ辺りにキスを落とされながら聞かれる。
ボンヤリとした頭だと、アレコレ考えようとはしない。

「ええ。ルークに新年の挨拶をしたくて」

「新年の挨拶?」

この世界では年が明けて『明けましておめでとう』と挨拶はしない。
ルークにしか通じない……正確に言えばあの子にも通じるだろうけど、今の私が態々出向いて言う事は出来ない。
第一面会も無理だわ(笑)友人でもないしね!年賀状とかも制度も無ければ、物自体もないのよね。
……紙はあるけど、羊皮紙(魔物の皮含む)なのよね……
仕事であげられて来る書類も羊皮紙だけど、量が凄いわよね?うちがお金持ちだから違和感無く山積みを見てるけど、本当なら高価だからあんなに見ないわよね?コウゾもミツマタも探せば見つかるだろうから植物紙を作り上げるか。
……別にコウゾとミツマタに拘らなくても白っぽい木なら何とか作れるんじゃないかな?
和紙から始める方が安心だけどな~(笑)

「うふふ、ルークと私にしか分からないかも?ね、ルーク」

「えっ?何がだ?」

お祖父さまと話し込んでるルークはノエルを抱っこしながら慌ててこっちを見る。
キャスバルお兄様の胸に凭れたまま笑う。

「新年の挨拶よ。ルークに一番最初に言いたくて」

私の言葉にルークがトロリと蕩けたような笑顔になる。
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