婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

文字の大きさ
上 下
346 / 1,449
連載

大晦日 6

しおりを挟む
「お祖父さま、トンカツは違う料理で唐揚げも違う料理ですから。明日のお祝いにトンカツと唐揚げを頼みましょう。今日は天ぷらを楽しみましょう」

「ん?おお!」

食堂は人口密度も上がってぽかぽかよりもちょっと汗ばむ位になってる。

「エリーゼ!ズズッ……この天ぷらズッ……蕎麦はズズッ……良いな!チュルッ!」

フッと声のする方を見たら、メッチャ蕎麦を啜ってるトールお兄様でした。
……エビ天を箸で掴みながらフリフリして、お行儀悪いです。
でも!それよりも気になったのは黙々と天ぷらを食べては蕎麦を啜るキャスバルお兄様でした。
いったいいつの間に……いえ、お父様とお祖父さまと私が話してる間に皆食べ始めてました。

「お喋りよりもお蕎麦ですわ!」

「んまんまにゃー!」

タマの叫びが聞こえます。
私も蕎麦を啜ります。エビ天をちょっとつゆに付けて囓ると、サクッと口の中から音が響く。
ジワリとエビの甘みが舌の広がる。

「おう!これは美味いな!」

お祖父さまの雄叫びが聞こえました。

「エリーゼよ、あの酒というのと合いそうなんだが……」

「さすが、お祖父さま。お蕎麦には日本酒ですわ!」

収納からキリッと辛口純米酒を出す。
途端に全員の目がキラキラしてきました。
うん、やっぱりお酒飲みたかったよね。

「ホホホ……マクスウェル、貴方飲み過ぎたりなんかしないで下さいね」

途端にゴホゴホと咽せたお祖父さまはガシガシと頭を掻いてお祖母さまを見る。

「うむ、勿論だ。勿論飲み過ぎたりなぞしないとも!ああ、安心してくれ!」

お祖母さまったら。

「蕎麦掻きとか……」

ん?ルークよ、何贅沢言ってるかな?普通のお蕎麦で留まってなさいよ。

「ルーク。食べたかったら自分で作ってね♡」

「あ、ハイ」

いや、魔法使えば楽々だって事は分かってるけど。でも前世では蕎麦掻き大変だった思い出があるから何となく贅沢な一品だと思ってるんだよね……

「フフッ美味しいわね~♡」

お母様!お母様超ご機嫌じゃないですか!

「お母様、このカボチャの天ぷら気に入ったわぁ♡」

……やはりスイーツクィーンだな!カボチャかぁ!
技術さえあればアイスクリームの天ぷらにチャレンジするんだけど!ゴメンね、お母様!
と私は内心で謝っておく。

「良かったですわ」

ニコニコしとく。
梅の甘露煮の天ぷら、後で出て来ますからね!
しおりを挟む
感想 5,634

あなたにおすすめの小説

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?

時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。 どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、 その理由は今夜の夜会にて

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

悪役令嬢は毒を食べた。

桜夢 柚枝*さくらむ ゆえ
恋愛
婚約者が本当に好きだった 悪役令嬢のその後

【完結】脇役令嬢だって死にたくない

こな
恋愛
自分はただの、ヒロインとヒーローの恋愛を発展させるために呆気なく死ぬ脇役令嬢──そんな運命、納得できるわけがない。 ※ざまぁは後半

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

白い結婚はそちらが言い出したことですわ

来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかバーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。