婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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年越し準備! 66

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どれ位そうしてたのか分からない。
私が泣き止むまでずっと優しく撫でられていた。

「ありがと……」

「ちょっと分かる。訳もなく悲しくて涙が出て……子供の頃良く泣いたよ。」

「そうなんだ……」

「エリーゼは思い出してから、あんまり時間経ってないんだな。」

「うん。婚約破棄されてる途中で思い出したの……」

「それは……ギリギリなタイミングだったな……」

「そうなんだ……」

断罪される前だったし、あの残念王子に未練……未練無かったって言ったら嘘だもの……
恋じゃないけど、情はあったんだよね。多分。

「ひょっとして気持ち残ってる?」

「え?いや、全然。まぁ長い期間婚約者だったから多少は思う所はあったけど、恋とかはしてなかったし今思うとどうでも良かったのかも。」

こんな風にジリジリするような焦がれるような気持ちにもならなかったし、もっとずっと側にいたいとか触れていたいとか……

「あのね、ルーク。私、ルークにだったら何されても良いよ。」

ジッと目を見て告げる。
ジワジワとルークの顔が赤くなっていく。
あれ?私何かおかしな事言った?

「エリーゼ……今、そのセリフはヤバい。」

「え?……あ……あれ?そうなの?アニスにだって、まだ何しても良いとは言ってないし……」

ハッ!とした顔でまじまじと見られる。

「そう……なのか?」

「そうですよ。そりゃあ、まぁ……閨の事前知識としてある程度は教育されるし実技もある程度は出来るようにはなってるけど……令嬢として処女は守り通してますよ。」

何故に目をギラギラさせながらうんうんと聞いてるのか?

「良く分からないんだが……専属侍女の必要性を教えて欲しい。何で必要なんだ?シュバルツバルト領は側近ってのがあるけど、実はそれも理解しきれてないんだ……」

あれ?ここはきちんと説明するべきなの?てか、説明しないとな!

「専属侍女の事からの方が良いかな?」

「ああ、頼む。」

ルークはコロリと添い寝ポジションになりました。
ベッドにフットカバーあって今ほど良かったと思った事ない!

「どこの高位貴族の令嬢もとりあえず年の近い侍女を付けるんだけど、これは王族や公爵家や侯爵家に輿入れする事を想定しての事よ。ぶっちゃけると血統保持の為に夫以外の男を寄せ付けない為の手段よ。処女で嫁いだら、肉体関係持てる男は一人って事よ。裏返せば男でなければ良いって言う事なんだけど、毎日毎日同衾する訳でもないと色々諸問題が発生したから出来たシステムだと思ってるわ。」

「そう言えば、他領には娼館とかあったな……」

「ええ……」

一つ頷いて溜め息を吐き出す。
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