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年越し準備! 53

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ちょっとだけ気分良くなって、フラフラとあちこちで焚かれてる焚き火で最も近い焚き火の近くへと行こうとして二・三歩進んでハタと止まる。
グルーリとテーブルを見て温燗の準備ご全然出来てない事に気が付く。

「しまった。気持ち良くなってる場合じゃない。温燗の準備しなくちゃ。」

そのまま元いたテーブルに戻り、一升瓶を何本か浸けていく。

「……丁度十本か……」

タライの中に十本の一升瓶が収まった。勿論、立った状態で。

「うん、ゆっくり浸けとけば良いかな。」

独り言を呟きながらウンウンと首を縦に振って次のテーブルを目指す。
どんどん暗くなって来る中、ちゃっちゃと温燗準備は進みガヤガヤと人の気配がやって来る。

「お嬢!お待たせしやしたぜ!今からタコ焼き焼くぜ!」

ジムがねじり鉢巻きで腕まくりしてコンロへと向かう。他の料理人が隣の台に大きなボウルを次々と乗せていく。

「エリーゼ様!お料理を各テーブルに乗せて行きますぞ!」

料理長がやり切った良い顔で声を掛けてきた。料理長の後ろから多くの料理人達がゾロゾロと大きなお皿や深皿を持って、あちこちのテーブルへと歩いて行く。
数人は小さなお皿を幾つもトレイに乗せている。あれらは醤油やわさび、塩コショウやソルト&ハーブ&スパイス等が入ったお皿だ。
更に木のお椀が入った籠も持っている者もいる。勿論、お皿の入った籠もある。更に言えば、箸やスプーンやフォークの入った籠もある。

「凄いわね。今日は甘味は出るのかしら?」

「おっ……お母様!気配を消して後ろに立つのは止めて下さい。ビックリします!」

振り返って見たお母様は笑顔でしたが、どことなくヒンヤリするのは気のせいでしょうか?

「あら?いつもであれば驚いたかしら?」

え……?
お母様がスルスルと私の隣に来ると「先に楽しむなんていけない子ね。」小さく囁かれゾクッと背中に冷たいモノが走りました。

「あ……味見程度ですわ……」

一応言い訳を言ってみる。

「分かっててよ。それよりも良い匂いね。あまり出さないお酒も随分出してるし、本当楽しみだわ。」

お母様の笑顔がいつもの笑顔に戻りました!
良かった!

「私達がいるテーブルなら、追加のお酒も出そうと思ってます。」

「まぁ!それは楽しみね!お義父様とお義母様も同じテーブルになるでしょう、安心して楽しめるわね!」

「はい!」

お祖父さまとお祖母さまも同じテーブルか……お祖父さま、スッゴく飲みそう……
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