婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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年越し準備! 37

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「聞きたい事は沢山あるが、婚姻式のドレスは何枚も着るものじゃない筈だが。」

雷に打たれた気がした。そうだ、この世界ではお色直しなんて事はしないんだった……

「あ……えーと……ご免なさいキャスバルお兄様。その……私の中では何枚かのドレスや婚姻衣装を一区切り毎に着替えるって思ってて……」

どうしよう~……しまったぁ……

ガターン!とお父様が勢い良く立ち上がり、何だか鼻息荒く目をキラキラさせてます。

「何故、今まで気が付かなかったんだ!婚姻式やその後、ことある毎に衣装を変えれば可愛いエリーゼの姿が幾つも見れるじゃないか!」

「父上!」

ガタッ!とキャスバルお兄様まで勢い良く立ち上がりました。

「そうですね!良く分かってなくて不思議に思ってましたが、何枚も着れば何回も可愛いエリーゼの姿が見れるんですね!素晴らしい発見だ!今から楽しみだよ!」

……お父様とキャスバルお兄様の愛が重い……私、失言したのかしら?それとも新たな婚姻式のスタイルを生み出したのかしら?

「楽しみだね、俺の可愛いお姫様がうんと美しい姿になって……」

……キャスバルお兄様が何か感極まってるよ……重度のシスコンって……

「色んなドレス着ような!」

どんだけドレス着させるつもりなの!

「食いつく所、そこなんだな……」

トールお兄様の呟いた言葉に同意だけど、突っ込まないでおこう。薮蛇はお断り!なのだ。

「まぁ!何枚もお着替えなんて素敵ねぇ!その度にお飾りも変えるの?」

「え?ええ、そうですわ。髪も結い方なんかを変えたりして……」

ってお祖母さまの目がキラキラしてる!ヤバい!これはモロにファッションに食い気味女子のソレだ!

「楽しみねぇ!王室なんて関係無くなったから色んなお飾りつけれるもの、うんと飾りましょうね!どこのお姫様よりもうんと綺麗に着飾りましょう!」

力強く言って来ましたよ。ここにお母様がいたら結託してたな……後、アニスもか……

「エリーゼ。エリーゼがドレスなら俺は帝国の正装で構わないかな?」

「それは勿論よ。」

「そうか、良かった。」

帝国の正装って……

「第三王子の婚姻式のお祝いの時着てたやつかしら?」

かっこ良かったのよね……

「ん?あれは略式だから正装とは言わないよ。」

え?かなりかっこ良かったのに正装じゃないの?

「まぁ、お楽しみにしてくれても良いよ。」

……あんなに派手だと、あれが正装だと思うじゃん……あれよりも格好いいのかな……
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