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年越し準備! 34

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「あの上等な糸が我が家で……ふふっ……エリーゼ、これで思いのままにドレスを作ろうね。」

キャスバルお兄様よ……何言っちゃってるの……怖いよ……何で私限定なの?チラッとで良いからお母様を見てよ。目が笑ってませんから。
本当、勘弁して。

「まぁ、キャスバルは本当にエリーゼが可愛いのねぇ。」

お祖母さま、そんな生易しい物じゃありません。あの糸、ゴッツいレベルなんです。
お祖母さまは実物見てないんでしょうか?

「ええ、本当にね。キャスバルのエリーゼへの溺愛振りと言ったらハインリッヒ様よりも凄いんですのよ。」

お母様、ぶっ込まないで下さい。エリーゼのライフはゼロよ。

「フフフ……貴女がそんな風に言うなんて……余程素晴らしい織物になるのね。見てみたいわ。」

……え?お祖母さま?

「そうですわね。新年のお祝いの時にはお見せ出来るかしら?」

こっちに流れ弾が!やだ!変な汗かいちゃう!

「ど……どうでしたかしら?」

ドレス全部見直さないと分かりませんよ!本来、婚姻式に着る予定だったのは天蚕糸で作ったドレスだけど他にもあったのは覚えてる。
何枚だったのかは忘れちゃったけど!お母様は持ってないの?

「ホホホ……エリーゼの聞きたい事は分かりますよ。婚姻式前でエリーゼの物しか仕立てれなかったのですよ。」

oh!no!お母様作ってなかった!今回の天蚕糸……は織ってドレスにするには日数が足りないか……
せめてショールとかあればなぁ……まてよ……島送りにしてた天蚕達の糸ってどうなってんだ?

(ナビさーん!天蚕糸って今、どうなってるの?)

〈マスター、チビナビ達ご織物にして様々な物を作ってあります。〉

(様々……?)

ヤバい、何か嫌な予感がする!

〈はい、白無垢にランジェリー。ローブデコルテを作ると息巻いておりますが。〉

……花嫁衣装を全力投球で作ってた!

(ちょっと待って!それは私の婚姻式の衣装よね?こっちで作ってる衣装の事は?)

〈負ける気がしない!と言ってました。マスターの知識にあるものを参考に作り上げたようです。〉

ヤバい……高レベルかよ……
私、何回お色直しやらなきゃいけないのかしら?

(ちょっとした物とか無いの?)

〈ございますよ。スカーフを作ってあります。なんでも染色技術を爆上げさせるとかなりの量があります。〉

……何処を目指してるのか……

(あまり色柄の無い物を二枚選んで頂戴。)

〈畏まりました。〉

ナビさんが選んでくれたスカーフ二枚を取り出す。
……ナビさん、本気かな?一枚は薄紫のあじさい柄。もう一枚は赤い椿柄。これで色柄無いヤツなの?リストを出して確認してみる。
……見たことあるような派手派手しいスカーフだと、リスト見て理解した。
何なの、レッドローズ&ゴールドチェーン・シュバルツバルト紋章(黄金唐草模様仕立て)って……殆どがゴールドとかプラチナとかシルバーとかの文字が入ってる……
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