婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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サテュロスゲットの旅 71

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何度となく犬鳴きに吠えさせた後、まだ続くのか?と思ったそんな時だった。

「エリーゼ!もう十分だ!仕留めろ!」

遠くから走りながら大声で叫ぶトールお兄様の姿が見えた。

「やるわよ!」

「おう!」

私はルークに声をかけると即答される。既にヨダレをダラダラと流している犬鳴きの長の首を狙いルークが斬り、私が斬り落とす勢いで太刀を閃かせた。
ボトッ……と大きな音が地面から聞こえた。

「エリーゼ、落ちたぞ。小型も引いて行ってる。」

マップに映る魔物のマーカー表示は僅か少量。それらが逃げて行くが深追いはしないように命令されている。

ハァハァと荒い息で歩いて来るトールお兄様とフレイ。

「やたらと明るいな。これもエリーゼの魔法か……かなり倒したから結構な量になったぞ。」

「そうですか、とにかく一度しまっちゃいます。解体しちゃいますから。」

「便利だな。」

思わずポロリと出たトールお兄様の言葉に苦笑いです。私も便利って思ってますもん。

「エリーゼ、こっちに入れておいたのは出して良いか?代わりに皮とかの素材を貰う。」

私の目の前に来るとどんどん出して積んで行くルーク。勿論ちゃっちゃか収納していきます。

「えーとね、爪とか鱗とか皮とか出すね。ああ後、骨。」

「了解。」

積まれた解体前の横にドサドサ出していく。でも皮は少しだけ私の方にも残しておく。何かに使えるかも知れないから収納に残しておくのだ!

「多いな……ドスの皮はやっぱりデカイな……そして鱗とか多っ!」

「あっ!鳴き袋ある!ルーク持ってて!」

「お……おう……」

なんかうるさそうなんだもん。ちょっと嫌です。肉ってどうなのかしら?好奇心湧きました、説明文を見ますよ!手はヒョイヒョイ収納してます。

「何々……肉は弾力がありサッパリしている。ほのかな甘みがあり、焼いても蒸しても美味。新鮮なものはタタキで食べれる。か……ルーク!新鮮だとタタキで食べれるって!食べたくなーい?」

チラッと見たルークは地面に膝をついて収納していた。

「タタキか……美味そうだな。タタキには日本酒だけどビールも良いか。」

お互いの事を見ずに作業をしながら会話する。

「エリーゼ、そのタタキと言うのは美味しいのか?」

ん?トールお兄様、興味持っちゃった?

「好みですけど、私は美味しいと思います。後でちょっと作ってみようと思いますから、良ければ味見なさったらどうかしら。」

「そうだな、味見して気に入ったら多めに作って貰うか。今日は皆頑張ったからな。」

なる程、ご褒美タイムか。

「分かりました。」

合いそうなお酒も出しておこう。寝酒程度どけどね。
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