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サテュロスゲットの旅 68

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月が上がるにつれ、ザワつきが小さくなり気配も薄くなっていく。
トールお兄様とフレイが私達の近くに歩いて来た。

「エリーゼ、周りの状況はどうだ?」

トールお兄様も気配を薄くして聞いてくる。マップを確認すると森林地帯の向こうに少しずつ集まって来ている魔物のマーカー表示。

「森林地帯の向こうに集まりつつあります。」

この森林地帯、グリーンベルトのように帯状に広がってる。その上はあまり植物が生えてないのかも知れない。山頂の辺りは殆ど生えて無いのが見てとれる。山が高ければ植物は殆ど環境対応できないからだ。

「そうか。フレイ、隊長・副隊長に言ってゆっくりと森林地帯に潜り込む準備を始めろ。」

「はっ!」

走って行くフレイの後ろ姿を見送る。

「エリーゼ。ここの森林地帯は意外と厚みがある。もし拠点に近づくヤツがいたら容赦なく討伐してくれ。」

「分かりました。」

「ルーク、エリーゼは強いが頼んだぞ。」

「勿論です。好きな女一人守れない腰抜けだと思わないで欲しい。」

クソゥ!イケメンめ!その言葉で私のHPはピンチよ!

「群れの長はいるか?」

「ええ、一つ大きい表示があります。タマ・トラジ、大きいのは罠を連続使用して足止めを頼んだわよ。」

とりあえず罠かけれるので、ガンガン罠にかけて引き延ばさせて鳴かせないとね!

「わかったにゃ!」

「まかせるにゃ!」

「ボクもいるにゃ!ボクもワナにかけてくにゃ!」

「ああ、頼むぞノエル。」

ノエルがシュタッ!と片前足を上げてアピールしてきました。ルークもそんなノエルを嬉しそうに見つめてる。

「ピカ太郎、罠に掛かった大きいのに痺れ玉ぶつけたりして弱らせてね。ルチルも出来るかな?」

「やれるピカ!」

「にいにといっしょにがんばるピカ!」

うん、ルチルの方が可愛いな。ハム太〇ボイスのピカ太郎と本家ピカチュ〇ボイスのルチルの差……たまらんな!

「偉いぞルチル。頑張ろうな。エリーゼ、可能なら足切って動けなくするか?」

「え?厳しくない?む……動き出したわよ。」

「俺のマップじゃ分からんな。」

真剣なルーク。トールお兄様もフゥと息を吐く。スタスタと中央広場に向かう。
ピタリと立ち止まると決して大きな声では無いけれど、グルリと見回して宣言する。

「ただ今より討伐戦を行う。相手は夜目がきく、必ず魔石灯を使い確実に締めろ。散開。」

誰一人声を上げず拳だけを上げ、静かに森林地帯へと進んで行く。
私達も歩いて進んで行く。距離はまだまだ大きく開いている。
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