上 下
109 / 1,397
連載

ただ今、準備中! 4

しおりを挟む
「サムじいは驚かないのね。」

「うん?何がだ?エリーゼ様はシルヴァニア家の血が強く出なすったんだろう。あの家は不思議な娘が多いと聞いたがなぁ。」

「えっ!誰から聞いたの?」

「そりゃあ、若奥様に来まっとる。若奥様も不思議な方じゃから、あっという間に皆信じたさぁ。」

……まさかのお母様自らのネタバレ。しかもサムじいからは不思議認定受けてるし……いや、不思議か。あの姿で強烈なパンチを繰り出したりとか到底普通の令嬢とは言い難いものな。色々規格外だもの……っと、背中がヒヤリとしたわ。くわばらくわばら。

「何かあったとしてもエリーゼ様じゃから、納得じゃわ!」

それはどう言う意味だろうか……いや、聞くまい。大事なのは食料物資として豆類を持って行ける事だ。

「エリーゼ様、あの何に使うか良く分からない種もとってあるがどうする?」

そう言って見せてくれた木箱の中身は椿の種でした。すでに八丈島で菜種油を生産してるので、椿油は食用ではなく美容に使う事にしよう。菜種油は春になったら生産して貰おう。

「ありがとう、サムじい。これは今からある程度貰って行って、ちょこちょこっとするわ。」

「そうかね。」

採れた椿油はお母様の所と半分こして乾燥から肌とか髪を守ろう。ざっざかざっざか無限小収納に入れていく。

「うん。大分貰っちゃった!でも、これから豆類は領地で作る事になるから。」

「そうかね。」

「ええ、特にこの小さな紫がかった豆。小豆と言って、お母様のお気に入りなのよ。」

料理長に砂糖の在庫を聞いて、多めにおいておかないとね!後、善哉は小まめに作ってお母様に出すように言っておけば邸の中は平和な筈!

「ほぉう!若奥様はこの豆が気に入っとるのか!じゃあ、この豆はたんと作らんとな!」

「ええ!頼んだわよ!」

サムじいに頼んでおけば間違いない!頼りがいのある男!ただし植物に限る!

「じゃあ!行くね!これからも宜しくね!サムじい!」

「任せとけぇい!」

ハッスル爺ちゃんだよ。でも長生きしてね!
私は一路、厨房を目指す。厨房に近付いた時だった……

「今度は俺が付いて行く!」

……え?料理長だよね?

「なに、言ってるんすか!年考えて下さいよ!」

ジムか……

「うるせぇ!今度は俺が付いて行って、エリーゼ様から直々に教えて貰うんだよ!若いからってお前ばっかり教えて貰ってんじゃねぇよ!」

……今度の旅に付いてくるんだ……でも料理長が来たら誰が指示だしするの?

「俺の代わりにジム、お前がやりゃあ良いんだよ!」

「料理長!」

ジムが叫んだわよ。気になる!

「若手じゃあ、お前が一番だ!ずっとこっちに居た連中も新しい料理はまだ良く分かってねぇ!お前が先頭切って教えるんだよ!良いな!意義のあるやつは今言え!」

「「「「「ありません!」」」」」

料理長、そんなにかよ……

「よぉーし!聞いたな、ジムよ。とにかく俺はエリーゼ様の旅に付いてく。帰ってくるまでジム、お前が俺の代わりだ!」

「……はい。」

今度の旅はジムじゃなくて、料理長来ちゃう事が決まりました。私の意見丸っと無視で。いえ、良いんですけどね。
しおりを挟む
感想 5,613

あなたにおすすめの小説

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら

キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。 しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。 妹は、私から婚約相手を奪い取った。 いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。 流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。 そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。 それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。 彼は、後悔することになるだろう。 そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。 2人は、大丈夫なのかしら。

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

初めまして婚約者様

まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」 緊迫する場での明るいのんびりとした声。 その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。 ○○○○○○○○○○ ※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。 目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。